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《イケメン戦国》時を越えて

第3章 時を越えて〜素性〜


シーンと静まり返る室内。
最初に口を開いたのはやはり信長様だった。
「貴様の目を見ていれば、今の話は嘘偽りないと分かる。だか…」

そう言って黙り込んだ信長様に続いて口を開いたのは明智光秀。
「ほう。なるほどな。くくっ、お前はこの場で俺の謀反を告発しようと?」
なぜか楽しそうに口元を緩めている。自分が疑われそうな場面で笑ってるなんて…。

「いえ、そうではありません。私は私の時代で言われている史実をお話しただけで、告発とかそんな事は考えてもいません。そもそも昨日、信長様を襲ったのは明智光秀さんではないですし。」

そう答えると間髪入れずに
「なんだと?!お前は昨日の輩が誰なのか知っているのか?!」
今にも飛び掛かりそうな勢いで叫ぶ豊臣秀吉を石田三成と徳川家康が必死に抑えている。

「もちろん、襲って来た人が誰かなんて知りません。でも、暗くて影になってたけど、髪型も着物の形も明智光秀さんとは全然違いましたから。一瞬見えた顔には傷があったし、刀だって…。刀と言うよりも杖みたいな?形でした。見る限り明智光秀さんは杖なんて持ってないし。だから、襲って来た人は明智光秀さんではないとそれだけははっきり言えます。」
そう、それははっきりしている。だから、この場で話せた。

「顔に傷…」
「杖…」
みんなしばらく考え込んでいる様子だったけど、
「………顕如か!」
明智光秀の一言で皆がハッとする。

「顕如ならば動機もあるし、間違いないでしょうね。」
徳川家康の肯定に全員が肯くと
「ならば光秀、直ぐに間諜を飛ばせ!」
「はっ」
信長様の指示に明智光秀が広間を後にした。

(なんだか良く分からないけど、話が終わったみたいで良かった。)
皆が難しい顔で黙り込む中、一人ホッと息をついた。
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