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《イケメン戦国》時を越えて

第14章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.前編


肯いた舞に
「それと、あんたは一人じゃない。俺も光秀さんも…幸村も…、今は他の場所にいる人たちもみんな舞を大事に思ってる。目が覚めた時に誰かいるようにするから、怖がらなくていい。舞には俺たちがいる。だから、安心して寝て。…分かった?」
「……うん。ありがとう。」
家康がなぜそんなことを言ったのかは分からないが、家康のおかげで心にあった言い知れない不安が消え去った。『一人じゃない』その言葉が、舞の心を温めた。
家康の言葉で安心した舞は、お粥を食べ、薬を飲むとすぐに眠りに落ちていった。その顔はとても穏やかだった。

眠った舞の様子に安心した家康は、舞を女中に任せて広間へと向かった。広間には、謙信、義元、光秀、幸村、佐助と先ほど到着した信玄と三太郎が揃っている。入って来た家康に
「どうだった?」
義元が開口一番に聞く。
「…傷は擦り傷がほとんどで大したことはないです。数日で治ります。腕と脚の青痣も同じ。ひどいのは…鳩尾の痣。誰かに思い切り殴られてできたものだと思います。そして、背中もひどい。全体に青痣と擦り傷がありました。肋骨も何本かいってるかもしれない。背中の負傷はたぶん、落馬によるものです。背中から思い切り落ちて、頭も打ったはず。後頭部に瘤がありました。おそらく記憶がないのはそのせいです。
しばらくは絶対安静です。湯浴みもダメなので、女中に体を拭かせるだけにしてください。完治まで数週間はかかるだろうから、信長様に言って俺はしばらくここに滞在します。」
話を聞いた面々は一様に険しい表情を浮かべる。
「記憶については…全くと言っていいほどありません。光秀さんと…なぜか幸村の名前だけは覚えていたけど、自分との関係性までは分かっていません。とりあえずは体の回復が優先なので、記憶に関しては気長に待つしかないですね。記憶がどうやったら戻るか…俺もその辺は詳しくないので調べておきます。」
「分かった。ありがとう。」
義元が答える。

「…毛利か」
謙信が言うと
「恐らく。城門を出た舞は毛利の者…世鬼一族に鳩尾を殴られ、気絶させられて連れ去られた。それを村正が追い、敵に襲いかかって舞を救った。その時に落馬して負傷し、意識もなく動けなかった舞を村正が小屋に運んで匿った。夜が明けて春日山に戻ろうとするところを幸村たちが見つけた。
と言った具合だな。」
光秀が答えた。
「……」
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