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《イケメン戦国》時を越えて

第14章 時を越えて〜分岐〜幸村ver.前編


「…そうですね。最後に彼から言われたんです。『竹刀を振り回して男みたいに暴れ回るし、気が強くて全く可愛げがない。』『お前みたいな暴力女を嫁にしようとするヤツなんてこの先、一生現れない。』って。それだけは、ちょっとヘコみました。」

「ちっ、クソ野郎だな。」
政宗は憤激し、
「本当、胸糞悪い話だな。」
秀吉はこめかみに青筋を立て、
「その男、この時代に居なくて命拾いしたな。」
光秀は静かな怒りを称えている。

そんな中
「舞、ちょっと来い!」
突然立ち上がった幸村が、舞を引っ張って歩き出す。
「えっ?幸村?!突然どうしたの?」
驚いた舞が聞くが
「いーから、来い!」
そのまま広間の外までぐんぐん進んで行った。

武将たちも驚いて
「おい!幸村!」
「幸、どこ行くんだ!」
と呼ぶが、それを無視して襖を開け放し、足袋のまま庭へと降りて行く。

「幸村!幸村ってば!」
舞が必死に呼ぶとようやく池の手前で止まった。
そして
「よし!叫ぶぞ。」
と言い出した。
「は?」
突然何を言い出したのかと舞が呆けていると
「お前、なんでも腹に溜めすぎ。叫んで吐き出せ。」
と突拍子もないことを言う。
「なっ、なに言って…」
「思うこと腹に溜めて、我慢ばっかして、そんなの体に悪いだろ?だから、叫べ!」
「…………ぷっ」
自信満々にドヤ顔で言う幸村がおかしくて吹き出す舞。
「笑ってねーで、さっさと叫べ。」
そう急かすので、
舞は大きく息を吸って

「あーーーーーっ!!!」
と思い切り叫んだ。
「ぶっ。なんだよ『あー』って。言葉を叫べ!」
「えー?言葉って言われても…」
「そのクソ野郎への文句とかねえのか?」
「最後にやっつけたから特にない。」
「なんだそれ。他にねーのか?」
「うーん。そうだ!」
「なんかあったか?」
「歌っていい?」
「歌?」
「うん。大きな声で歌えばスッキリするから。」
「…お前がいーなら、いーんじゃねーの。」
「分かった。」
「じゃあちょっと部屋に行って取って来る!」
「はっ?おい!」
そう言って走って行った。

戻って来た舞が持っていたのは、見たこともないもの。
「なんだこれ?」
「これはピアノっていう楽器の小さなもの。」
「ぴあの?」
「うん。これで伴奏するの。」
「へー。」
「じゃあ、始めるね。」

そう言って、舞はピアノを伴奏に歌い出した。
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