第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
〜家康目線④〜
初めて体を繋いでから、より一層、舞との距離は近付いた。そして、女の色気が加わった舞は、以前にも増して美しくなった。そんな舞の変化に当然、周りも気付く。
「祝言前に孕らせたら、どうなるか分かっているだろうな?」
光秀さんにもの凄く冷たい目で脅された。
「分かってます。だから、今度の卯月の舞の生誕日に祝言を挙げさせてください。」
そう頭を下げる俺に
「家康、お前も娘ができれば分かる。父親とは皆、娘は誰にも渡したくないものだ。」
と可か不可か分からない言葉を残し、去って行った。
「どっちなんだよ!」
俺の叫びを聞いていた信長様が
「くっ、光秀が父とは手強いな。」
そう、おもしろそうに笑った。
「舞だけは譲れないんで、許してもらえるまで頭を下げます。」
俺が言うと
「ふっ、竹千代が言うようになったな。まあ、しかとやれ。」
信長様は肩をポンと叩いてそう言いながら、その場を後にした。
本当は分かってる。光秀さんは反対してる訳じゃない。舞と家族になって、その存在が何より大切になったから、離れるのが寂しくて認めたくないだけなんだ。
信長様も、いや信長様以外の武将たちも俺たちを温かく見守ってくれてる。舞と、ついでに俺の幸せを願っているんだって。
俺が舞と夫婦になれば、舞は安土を離れ、駿府へと居を移すことになる。光秀さんだけじゃない。みんな舞と離れるのが寂しくてしょうがないんだ。
だけど、それでもいつかは舞のために認めてくれる。そう信じて、その日が来るまで俺は何度だって頭を下げよう。