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《イケメン戦国》時を越えて

第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり


そんな日々が続いたある日。
舞は家康の御殿を訪れていた。いつものように夕餉を二人で食べて、家康との時間を過ごす。そして、いつものように家康の胡座の上で口付けを交わし、いつものように二人で褥へ入った。
二人で寝る時はいつも手を繋ぐ。今日もいつもと同じように家康が手を差し出すが、一向に舞の温もりは返って来ない。
「舞?」
不思議に思い、舞を呼ぶが返事はない。寝てしまったのかと、舞を見た家康は驚いた。

「ーーっ、どうしたの?!」
焦って声を上げる家康。舞は…涙を流していた。
「なにかあった?」
そう尋ねるも、首を横に振るだけで何も言わない。
どうして良いか分からず、舞を抱きしめて背中をさする。家康の腕の中で涙を流す舞は、
「どうしたら、魅力を持てるのかな…」
小さな声でそう言った。
「えっ?」
意味が分からず問い返す家康。
「どうしたら…家康に魅力的だと思ってもらえる?」
「……」
やっぱり意味が分からない。舞ほど魅力的に映る女などいない。自分は舞に魅力がないなど露ほどにも思っていないにも関わらず、なぜそう思うのか分からなかった。
「本当にどうしたの?俺は舞を魅力的だと思ってるよ?」
宥めるように優しく言葉をかける。
「舞の全てに魅力を感じてる。舞ほど魅力的な女なんていない。」
自分の思いが伝わるように、心を込めて言葉を紡ぐ。

すると
「嘘!そんな嘘言わないで!家康が私に魅力を感じてないのは分かってる!」
感情的に言い放つ舞に驚くが、
「嘘なんて言ってない。俺は本当のことしか言ってない。なんで今日はそんなに…何があったの?」
努めて冷静に言葉を返す。

「………」
しばらく黙り込んだ舞は
「じゃあなんで…なんで…家康はなにもしないの?」
悲しそうにそう言った。
「えっ?」
「私に魅力がないから、一緒に寝てもなにもしないんでしょう?私が男みたいで女としての魅力がないから…」
「なっ、なに言ってーー」
そこまで言って絶句した。
ただ、自分は舞を大事にしたかっただけで、好きでしなかったわけじゃない。それが、とんでもない勘違いを生んでいたと分かり、冷水を浴びせられたような気分になった。

「…したくないわけない。」
「えっ?」
「こんなに好きで好きでしょうがない女と一緒にいてしたくないわけない。今だって、舞を抱きたい。抱きたくてしょうがない。」
そう言って唇に噛みついた。
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