第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
安土に戻って一月半後。光秀御殿。
「舞さん、本当に現代には帰らないんだね?」
「うん。帰らない。」
「ファイナルアンサー?」
「ププッ、懐かしいね。…ファイナルアンサー。」
現代へ帰るなら、今日中に安土を出発しなければならない。返事は分かっていたものの、一応の儀礼として佐助は確認を行った。
「お互い、この戦国ライフを満喫しよう!」
相変わらずの無表情で佐助が言う。
「うん!」
舞は笑顔で答えた。
「その後どう?家康公とは仲良くやってる?」
出されたお茶を飲みながら、佐助が聞いて来る。
「うん。私と家康は大丈夫なんだけど…」
「なにかあった?」
「光秀さんと家康のバトルが…」
「ああ、いわゆる父vs娘の彼氏ってやつか。」
「うん。光秀さんはああ見えて結構…」
「父性愛バリバリな感じ?」
「ふふっ、うん。すごく可愛がってくれる分、家康には厳しいの。」
「そうか。」
「うん。家康とケンカでもしようものなら、光秀さんからコテンパンに口撃を受けるみたい。だからってケンカしたのを隠そうとしてもすぐバレちゃうし…。まあ、おかげでその場で仲直りするようになったから結果オーライなんだけどね。」
「光秀さんの口撃はすごそうだな。」
「『ワーッ』て言うんじゃなくて、真綿で首を絞めるようにジワジワだからね。ダメージも大きいみたい。秀吉さんのお小言の方がマシだって。」
「ははっ、敵には回したくない人だな。」
「ふふっ、味方だとこの上なく頼もしい人なんだけどね。…そう言えば、春日山のみなさんは元気?」
「ああ、みんな元気だ。謙信様の『斬る』も信玄様の『〜しないと死んじゃう病』も義元さんの『浮世離れ』も幸村の『おー』も相変わらず。」
「アハハハッ、幸村の『おー』って!」
「幸村は『あー』とか『おー』が多い。基本、語尾は伸ばす。」
「ブッ!アハハハッーーー」
佐助と舞の楽しげな笑い声が響いていた。
安土に戻ってから舞は光秀の御殿へと居を移した。親子となったので当然と言えば当然だが、家康をはじめとする武将たちは反対した。なぜなら、光秀は仕事柄不在が多く、光秀の御殿では武将たちの目が届かないからだ。
そこで、出された案が『光秀の不在時には安土城で過ごす』というもの。舞の身の安全を考えた光秀もそれを了承し、今は城と光秀の御殿を行ったり来たりする生活を送っていた。