第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
〜家康目線④〜
「「プッ」」
お互いに言い合って笑い合う。そして
「家康が笑って嬉しい。」
舞が言った。
「うん。俺も舞が笑って嬉しい。二人で笑えて幸せ。」
そう答えると、舞はより一層笑みを深くした。
それから
舞が『この際だから聞いていい?』と言う質問に答えることになった。
「男の人と剣を交えたり、馬に乗ったり、その他いろいろ…男の人がするようなことをする私を家康は嫌じゃないの?」
「嫌じゃない。俺は弱いヤツは嫌い。」
「…そっか。」
「でも、なんで?」
「元の世の時に『男おんな』とか『男みたいで可愛げがない』とか良く言われてたから。全然モテなかったし…。だから、家康も女の子らしい人の方が好きなのかなって。」
「『女の子らしい』がどんなものなのか知らないけど、俺は舞らしい姿が好きだから、そのままでいい。」
「…ありがとう。家康が私なんかを好きになってくれる貴重な人で良かったー!」
「……(はー、全然分かってない。)」
「次は家康の誕生日と年齢を教えて?」
「生まれた日は睦月の最後の日。歳は21。」
「…睦月は1月で最後の日は…31日…21歳。」
俺が答えるとブツブツ言う舞。
「舞は?」
そう聞くと、
「えーと、4月だから…卯月の15日で、年齢は20歳です。」
「…卯月の15日?」
(その日に祝言をあげられるように準備しよう。)
「舞、早く光秀さんに許可もらって夫婦になろうね。」
「ーーっ、はい。」
「家康の好きな食べ物は?」
「辛いもの。」
「好きな色は?」
「黄色。」
「座右の銘は?」
「……」
その後も舞の質問は続き、気付けば辺りはすっかり闇に包まれていた。
宿までの道を手を繋いで歩く。
「今日でたくさん家康のことを知れたから嬉しい。」
そう言って笑う舞。
修羅場だったけど、お互いの本音をぶつけて距離が近付いた。もっともっと近付けるように、素直になる努力をしなきゃ。
「こんな時間までなにをしていた?」
宿の前には仁王立ちする光秀さん。
「なんか、光秀さん…お父さんみたい。」
ポツリと呟く舞に
「なに言ってるの?光秀さんは舞のお父さんでしょ?」
そう返せば
「そうだった!」
さも、今気付いたかのように手をポンッと打つ。
「光秀お父さん、ただいま!!」
と舞が言うと
「……」
「ブッ」
微妙な顔をした光秀さんがおかしくて吹き出した。