第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
〜家康目線③〜
しばらく、二人で黙って座っていた。
(舞にきちんと伝えないと。)
そう決意して話し出す。
「俺は、舞が大好きなんだ。舞と過ごす時間がすごく好き。だから、舞といることを嫌だなんて思ったことないし、これからも思わない。俺はどんな舞も好きだから、今のままの舞を愛してるから、『好きでいてもらおう』とか『嫌われないように』なんて思う必要なんてない。」
舞は黙って聞いている。
「俺の態度がおかしかったのは、嫉妬してたから。信玄と義元様に…信長様と謙信にも嫉妬した。みんなが舞に懐刀を渡そうとするのが面白くなかった。でもそれを舞に言うのは恥ずかしくて、でも、自分では上手く処理できなくて舞に八つ当たりした。…八つ当たりして傷付けた。ごめん。本当にごめん。」
「………」
「俺も同じなんだ。舞と同じ。誰かと恋仲になってこんな風に過ごしたことなんてない。自分より大事だと思える人に逢ったのは初めて。だから、余裕なんてなくて自分のことで精一杯で舞を思いやれなかった。
ごめん。でも、これからは舞を思いやれるように、不安になんてさせないように、たくさん幸せだって思ってもらえるように頑張るから。だから、これからもずっと、ずっと俺の側にいて欲しい。俺の側で笑ってて欲しい。何度も言うけど、俺は舞が良いんだ。舞じゃなきゃダメなんだ。」
そこまで言うと
「……家康…私の方こそごめんね。ありがとう。」
舞はまた謝った。
「俺は素直じゃないし、口下手だし、気持ちの切り替えも上手くない。舞が望んでも上手く笑えない時もあると思う。そんな時は手を繋ぐから。笑えない分、舞と手を繋ぐから、それを笑顔と思って欲しい。…ダメかな?」
舞は首をブンブンと横に振って
「ダメじゃない。そんな風に思ってくれて嬉しい。今日も手を繋いでくれてたのに気付けなくて…ごめんね。」
そう言った。
「じゃあ、はい。」
そう言って俺が手を差し出すと、舞は嬉しそうに笑ってその手を取った。そして、指をギュッと絡める。
「俺はこれから先ずっと繋いだ手を離さない。だから、舞も離さないで。」
「うん。」
「それから、これからは『ごめんね』は禁止。」
「えっ?」
「『ごめんね』の代わりに『大好き』って言う。舞は謝り過ぎだし、『大好き』って言われた方が嬉しいから。」
「うん。ごめー、あっ、えーと…大好き。」
「うん。俺も大好き。」