第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
広間に戻ると、
「舞」
と信長の座る上座に呼ばれた。謙信と信玄も並んで座っている。そこには光秀の姿も。
「どうしたんですか?」
舞が尋ねると
「そこへ座れ。」
と光秀の向かいを指定される。大人しく言われた通りに座ると
「今から貴様と光秀は親子の契りを交わす。」
そう信長に言われ
「えっ?」
驚く舞。
「貴様と光秀の親子の契りを俺たちが見届ける。」
「…信長様…」
謙信が光秀の持つ盃に酒を注ぎ、光秀がそれを飲み干す。その盃を舞に寄越したので受け取ると、そこへまた謙信が酒を注ぐ。光秀が肯くので、舞も酒を飲み干すと
「これで、光秀と舞は親子となった。ここにいる全員が証人だ。」
と信玄が言った。
「ありがとうございます。」
目に涙を浮かべて言う舞を皆が笑顔で見ていた。
そして、
「これはお前が持っていろ。」
と光秀がくれたのは懐刀。
「えっ?でも…」
戸惑う舞に
「お前が持っていたものは、俺に渡せ。互いの守りだ。」
そう光秀は言った。
「はい。」
答えた舞の頬には涙が伝っていた。
そうして始まった宴は盛大なものだった。
「光秀に娘ができるなんてなあ。」
感慨深げに言う秀吉に
「お前もどこかに隠してるんじゃないのか?」
と光秀が返す。
「なっ、なに言ってんだ!俺は毎回、注意してるから大丈夫ーー」
そう言った後に、舞の冷ややかな視線に気付く。
「秀吉さんてやっぱり女好きなんだ。史実にも織田軍一の女好きって。死因は性病だったって書いてあった。」
「「「ブッ!!」」」
吹き出す武将たち。
政宗「秀吉、ほどほどにな。」
義元「病には気を付けて。」
家康「妻が20人て秀吉さんのことじゃないんですか?」
幸村「子は40人くらいいるんじゃねーの?」
佐助「『英雄色を好む』って言いますからね。」
光秀「くれぐれも失敗しないようにな。」
「おっ、お前らー!!あっ、違うんだ舞。俺はちゃんと誠実にだな。」
「言い訳するとやましいことがあるみたい。」
「いやっ、そうじゃなくてっーー。」
「ぷっ、秀吉さん、冗談だよ。」
「そっ、そう。冗談だ!ってーーー舞!!」
「アハハハッ。ごめんなさい。ふふっ。」
「お前、光秀の娘になって似てきた気がするぞ…。」
「えー?だって、同じ血が流れてるんだもん。」
「………」
手のかかる人間がまた一人増えたと、涙目になる秀吉だった。