第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
バタバタと宴の準備がされる中、
「舞、ちょっと話そう。」
そう言って、家康に連れ出された先は、春日山城の庭園。夜の闇を満月の明かりが照らし、とても幻想的だ。家康に手を取られ、東屋まで進んだ二人はそこに腰掛ける。
流れる静寂。それを破ったのは家康だった。
「舞、俺は舞が好きだよ。ずっと俺の側にいてくれる?」
「…うん。ずっと一緒にいたい。私も家康が好き、大好き!」
舞が言うと、家康が今まで見た中で一番良い笑顔を浮かべた。
「…良かった。」
「えっ?」
「舞が俺を選んでくれて本当に良かった。あんただけは諦めたくなかった。」
「…家康。」
「さっきも言ったけど、俺は、俺の妻は一人でいい。舞だけがいい。舞以外いらない。だから、舞も俺だけを見てて。」
「うん。私も家康だけだよ。家康しかいらない。」
「ありがと。」
「それはこっちの台詞。いつも支えてくれてありがとう。一人にしないでくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。」
「…舞…。」
「愛してる。」
「私も愛してるよ。」
そう言って、二人の唇が重なる。
啄むような口付けは、次第に深くなって行く。
しばらく口付けを交わした後、家康が舞を抱きしめる。そして、そっと離して目をみつめると
「舞、俺と夫婦になって。ずっとずっと側にいて笑ってて。」
「はい。毎日、家康が笑ってくれるように頑張るね。」
「頑張らなくていい。そのままでいて。」
「うん。」
そしてまた、口付けを交わした。
「あのね。」
「ん?」
「熱で倒れた時。」
「うん。」
「目を開けたら家康がいて嬉しかったの。」
「うん。」
「呼んでくれてたのが家康だって分かって嬉しかった。」
「うん。俺も舞が目を開けた時、嬉しかった。」
「それで、その時に気付いたの。家康のことが好きだなあって。」
「…そう。」
「家康が笑ってくれるのが嬉しいのは、好きだったからなんだって、その時に気付いた。だから、それからは家康が笑うともっと嬉しかった。」
「……」
「これからも二人でたくさん笑おうね。」
堪らず舞を抱きしめる家康。
「家康?」
「あー、もう。本当にかわいすぎ!」
「えー?何言ってるの?」
クスクス笑う舞。
(こんなにかわいかったら、俺の心の臓がいつか壊れる。)
ギュッと抱きしめ合いながら、お互いの温もりを分け合った。