第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
真っ赤になった後、悲しそうに俯いてしまった舞。
そんな舞に
「舞、明智の血を未来永劫残す必要はない。血を残すためにお前が幸せになれないなど、本末転倒だ。」
と光秀が言う。
「…光秀さん…」
「それに、確かに俺は妻を娶るつもりはないが、子は持てる。」
「えっ?」
「お前が産んだ子を養子に取って明智を継がせれば良い。お前の子なら明智の血が入っている。そうすれば、この先お前が消えてなくなることはない。」
「……なんで分かったんですか?」
「小娘の考えることくらい、手を取るように分かる。お前は特に分かりやすい。…何も案ずるな。」
「……」
「安心して20人でも30人でも子を産め。」
最後はそう言って、意地悪く笑った。
「光秀さん、やっぱり意地悪です!!」
「そうか?でも、意地悪されるの好きだろう?」
「好きじゃないです!」
そう言って頬を膨らませる舞を見て、皆が笑う。
「家康」
光秀が声を掛ける。
「はい。」
「最低でも1年は嫁には出さん。」
「……はい」
「えっ?嫁って…。家康は…」
「言っとくけど!俺は何人も妻を娶るつもりなんてないから。妻は一人でいい。一人しかいらない。」
そう言ってそっぽを向く家康の耳は赤い。
「はっ、はい。」
答える舞も真っ赤だった。
「佐助はどうすんだ?」
幸村が問う。
「どうするって?」
「あー、お前は徳川の人間なんだろ?徳川に行くのか?」
「行かない。俺は『猿飛佐助』。上杉の軒猿。それ以外はない。」
「…そっか。」
「俺がいないと謙信様が泣くからね。」
「ぶっ、謙信様が泣くとか見てみたい気もするな。」
「…佐助、幸村、斬る!」
「うわーっ!おい、佐助!俺を犠牲にするな!!」
「幸村、君のことは忘れないよ。」
「バカ言ってないで止めろよ!わー!!」
アハハハッーーー
皆の笑い声が響く。
「うまくまとまった事だし、今夜は宴だな。」
信玄が言うと
「朝まで飲み明かすか!」
秀吉が乗る。
「じゃあ、つまみでも作って来るか。」
政宗が厨へと駆けて行く。
「みんな楽しそうだね。」
義元が優雅に微笑むと
「『仲良きことは美しきかな』ですね。」
三成も微笑んだ。