第13章 時を越えて〜分岐〜家康ver. ※R18あり
「ーーーっ!…み…つひで…さん…ど…して…」
開いた襖の先に立っていたのは光秀だった。
驚いて目を見開く舞を真っ直ぐに見つめ、歩み寄って来る。
ーーー刹那
光秀が舞を掻き抱いた。
「全くこのバカ娘は…」
そう言う光秀の声が震えている。
「お前一人を背負うくらい、造作もない。」
「えっ?」
「お前が俺を案ずるなど、500年早い。それに、お前は弱くない。大丈夫だ。」
「…光秀さん…聞いて…?」
「ああ。良く頑張った。良い子だ。」
そう言って頭を撫でる光秀。
「……ううっ、うわぁーーん!」
舞は子どものように泣き出した。
大泣きする舞の背中を、いつかと同じように光秀が大きな手で優しくさする。
「ヒクッ、ヒクッーー…うっ、うっ」
次第に落ち着いた舞はポツリポツリと話し出した。
「この…時代に来て…光秀さんに会った時…ほ…んとは…嬉しかった。血が…繋がってる人に…会えて…。」
「ああ。」
「会えて…良かった。」
そう言って泣き笑いした舞を光秀は優しい目で見ていた。
「じゃあ、これで帰る理由はなくなったな?」
落ち着いた頃に政宗が言う。
「えっ?あっ、あの、それは…」
しどろもどろになる舞。
「まだなんかあんのか?」
今度は幸村が問う。
すると
「このまま舞さんが戻ってしまったら、俺は存在しなくなるかもしれない。」
真顔で佐助が言う。
「「「えっ?」」」
何人かが声を上げる中
信長「まあ、彼奴の代で終わってしまうだろうな。」
信玄「そりゃ大変だ。」
義元「史実とはずいぶん違うみたいだからね。」
謙信「…徳川はどうなろうと構わんが、佐助が消えるのは困る。」
光秀「くくっ。そういうことか。」
「「ええっ?」」
そう叫んで、目を見開き固まる家康と真っ赤になる舞。
政宗「あー、なるほどな。」
幸村「そーゆーことかよ。」
秀吉「いつの間にそんなことに!」
三成「??」
三太郎「……」
「なっ、なっ、なんでっ!」
舞が叫ぶと
「貴様ほど分かりやすい奴はおらん。」
信長がニヤリと笑って言う。
「舞?どういうこと?」
状況を理解した家康が聞けば
「なっ、なんでもない!なんでもないから!!」
焦って答える舞に
「なんでもなくないでしょ。佐助が消えるってなんで?」
と意地悪く言う。そして
「確かに、舞がいないなら俺の子は生まれないから、責任取ってよね。」
そう言って微笑んだ。