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《イケメン戦国》時を越えて

第12章 時を越えて〜舞の秘密〜


「では、続きをお話します。」
舞が話し始める。

「私が体調を崩す元となった文の内容を読み上げるので聞いてください。
この文は、明智光秀が本能寺の変を起こす前に、子孫に向けて書き残したものです。現物は500年後の世の明智家の隠し部屋に保管されています。
私が今持っているのは、その文を私たちの時代でも読めるように書き直したもので、明智家の歴代当主にしか見ることはできません。父が亡くなって、当主となった私が懐刀と一緒に受け継ぎました。」
「懐刀の謎はそういうことだったのか…。」
信玄が言うと
「はい。光秀さんが持っている懐刀と同じものだけど、別のものです。」
「うん。そうだろうね。」

「じゃあ、読みますね。」
舞が封筒から書類を取り出す。

「我が子孫に真実を書き記す
姉川の合戦で周りのーー」

「姉川の合戦ってなんだ?」
突如、政宗が割って入る。
「朝倉と浅井の連合軍と織田軍との合戦です。浅井家当主の浅井長政の妻は信長の妹のお市さんで、長政は信長の義弟であったにも関わらず、織田家を裏切って戦を仕掛けた。それが『姉川の合戦』です。結果は織田軍の勝利でしたが、数名の優秀な家臣が戦死し、織田軍にも結構な被害があったと言われています。朝倉、浅井はその後も比叡山延暦寺や武田と組んだりして、しぶとく信長に食い下がりますが、最期は討伐されてお家滅亡したと。」
「お市って、あのお市様か?」
秀吉が聞く。
「信長様の妹さんのお市さんです。」
「お市様は北条へ嫁いでるし、浅井家は当の昔に滅んでる。だから、その『姉川の合戦』とやらはここでは起こっていないと言うか、起こり得ない。」
「そうですね。やっぱり俺たちの知る史実とは違う。」
「…そうだな。」

「舞、続きを。」
謙信が舞に促す。

「はい。
ーー姉川の合戦で、信長様の周りへの懐疑心はより一層深いものとなり、それはどんどん酷くなっている。常に心の休まる時はない。ほぼ眠れず、食事は目の前で毒味したものしか口にされない。
このままでは信長様が持たないと、案を進言するも、罵倒され時には殴られる。いい加減、愛想も尽きそうなものだが、信長様の背負うものを思えばそんな気持ちにもならない。
自分が信長様にできることと言えば、何があろうとも変わらず側にお仕えすることのみ。大望を成し遂げるその日まで、どんなに辛くとも苦しくとも信長様をお支えしたい。」
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