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《イケメン戦国》時を越えて

第12章 時を越えて〜舞の秘密〜


「私は明智家32代当主『明智光太郎』の一人娘として生まれました。父も私と同じようにひとりっ子だったので、祖父母が亡くなった後は、明智の直系血族は父と私だけでした。
父も母も私をとても愛してくれました。私が色々な習い事をしていたのは『明智の名で少しでも苦労しないように』と思った両親の愛情の現れです。武術は身を守るため、それ以外は、もしも一人で生きて行くことになった時に困らないように…。
そして、あの日…両親が殺されました。」
舞はそう言うと、俯いた。しばらく黙っていたが、また顔を上げて話し出す。

「信長様は…信長様だけじゃなく、この時代の武将のみなさんは私のいた世でも有名でとても人気があります。学校と言う学問を学ぶ場で、誰もがみなさんのことを知り、学ぶのです。誰がどんな偉業を成し遂げたのか。当然、『明智光秀』についても学びます。『織田信長を死に追いやった裏切り者』として…。
とは言っても、500年後は平和な世なのでその事によって明智家が何かされると言うことは基本的にはありませんでした。
でも、時には過激な人もいて…」
そこから話せなくなった舞の代わりに佐助が話し出す。

「あの事件は、俺も良く覚えています。現代の信長様の熱狂的な信者数名が、明智家を襲撃したんです。織田家や織田軍の家臣の家系とは全く関係のない人たちが、ただ『明智光秀のせいで信長様は死んだ』。それを理由に、子孫である舞さんの家族を襲ったんです。
平和な世と言っても、包丁などの刃物は誰でも手に入れる事ができます。
舞さんのご両親は、体中を滅多刺しにされて息絶えたところを発見されたそうです。
舞さんはその頃、実家から離れた場所で一人で生活を送っていたので難を逃れました。
犯人はすぐに捕まりました。でも、舞さんのご両親が還って来る訳じゃない。ご両親を亡くした舞さんは、一人になりました。
この時代なら、珍しい話じゃないかもしれません。でも、俺たちのいた時代では『人が殺されること』は非日常です。人を殺すことは、『とても怖いことで絶対にしてはならない悪いこと』なんです。
それが自分のご両親の身に起こった舞さんの気持ちは、俺には計り知れないけど、とても傷ついて悲しかっただろうと思います。」
そう話す佐助の目が潤んでいた。
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