第12章 時を越えて〜舞の秘密〜
〜3人で逢瀬〜
舞が
「城下町に行きたい!」
と言い、家康の許可も下りたので義元と幸村と3人で出掛けることにした。
春日山城下を3人で手を繋いで歩く。
「どこに行こうか?」
義元が尋ねると
「安土のみんなにお土産を買いたいと思ってるんですけど…。何が良いと思いますか?」
と舞が言う。
「そうだなあ。幸村、何が良いと思う?」
「あっ?安土の奴らなら、酒とかがいーんじゃねえの?」
「お酒…良いね!お酒にする。信長様には金平糖!」
「お酒と金平糖ね。了解。」
「はい。よろしくお願いします!」
3人は酒屋に向かって歩き出した。
「そう言えば、舞はお酒飲めるの?」
「はい。一応。」
「『一応』ってなんだよ。」
「飲めなくはないけど、強くはない。」
「へー。」
「幸村と義元さんは強いの?」
「俺は、まあ、謙信様に鍛えられてるからな。」
「えっ?」
「謙信様に付き合って飲むと明け方とかになる。」
「ええー?明け方?!義元さんも?」
「俺は節度ある飲み方しかしないよ?謙信や幸村に付き合ってたら大変だからね。」
「なに言ってんだっ!信玄様と義元は俺と佐助に押し付けてさっさと逃げるから、俺たちが頑張ってんだろーが!」
「そうなんだ。幸村、お疲れさま。」
「あーもー。バカ元には話が通じねー。」
「ふふっ。」
そんなことを話しているうちに酒屋に到着した。
「どれが良いんだろう?幸村、オススメってある?」
「あ?そうだな。これは謙信様が好きなやつで、こっちは信玄様。」
「俺はこれが好きだよ。」
「へぇ。みんな好みが違うんだね。」
「おー。謙信様は辛口、信玄様は甘口、義元のは濁り酒だ。」
「ふむふむ。えーと、じゃあ。辛口と濁り酒にしようかな。焼酎ってある?秀吉さんは焼酎派なの。」
「あるよ。幸村と佐助も焼酎が好きなんだ。」
「おー。俺と佐助はいつもこれだ。」
「そっか。じゃあ、焼酎はこれにする!」
こうして、舞はお酒を購入した。持ち歩くには重いので、城まで配達を頼む。
「じゃあ、次は甘味屋だね。」
「はい!」
「信玄様の行きつけの店に連れてってやる。」
「信玄様は甘いものがお好きなの?」
「おー。『甘いもの食べないと死んじゃう病』とか言って、目を離すと飯より甘味食ってる。」
「ええ?!そんなに好きなんだ。信玄様は見た感じと全然違うね。」
「女人好きは見た目通りだけどな。」
「ははっ…」