第12章 それはずるい
夜からの自主練は、今日も第3体育館。
黒尾くんについて行くと、今日は月島くんもいて。
昨日の話から、少し吹っ切れたのかな。
なんだか嬉しくなる。
「おっ、ツッキー、今日は仲間連れか? 」
黒尾くんの声に、体育館の入口を見れば...
『日向くん! 』
「は、ハイ!イイエ!」
『え、どっち? 』
可愛い。
「相棒はどうしたのサ。」
「影山はまた1人で練習! 研磨にトス上げてもらおうとしたら5本で逃げられた! 」
「研磨が5本も自主練に付き合っただけでもスゲーぞ。」
『たしかに...。』
いつも練習が終わると直ぐに帰る背中を、いつの日か体育館のギャラリーで見たことを思い出す。
「だから、」
「「俺も入れてください! 」」
『リエーフくん! 』
「リエーフ! 」
リエーフくんは、やっくんのところでレシーブ練習のはず。
同じように思った黒尾くんが尋ねたら、今日は終わったとのこと。
本当かなあ...。
やっくん怒ってなきゃいいけど...。
「まぁいいや。人数ちょうどいいから、3対3やろうぜ。」
黒尾くんが声をかけて。
人数も増えて、3対3。
いつもより賑やかな第3体育館。
「倉尾、分けて。」
『ええっ、私? 』
「おう。」
黒尾くんからの急なご指名...。
ええと、木兎くんは赤葦くんと一緒のチームの方が練習になるよね? 分ける意味はあまりないだろうし...。
日向くんと月島くんは、仁花ちゃんと山口くんがライバル的な立ち位置になればいいって話してたのが聞こえた。
なら、2人とも烏野だけど、別チームでもいいかも。
月島くんはたぶんブロックの練習をしたいんだろうから、ブロックが上手い黒尾くんと同じがいいかな? その方が色々学びやすいよね、きっと。
リエーフくんも、黒尾くんと同じチームならブロックもレシーブ見てもらえるはず...たぶん、十中八九やっくんから逃げてきてるし。
じゃあ、
『これでどうでしょう...』
日向くん、赤葦くん、木兎くんのフクロウチーム。
黒尾くん、月島くん、リエーフくんのネコチーム。