第11章 木陰に隠させて
「えっ、そうなの? 」
『うん...。』
「なんで? 」
『うーん...』
布団に座って、また夜のガールズトーク。
『たぶん、付き合うと、かっこよくて選手として見れなくなっちゃうから、かなぁ...。無意識のうちに他の部員より贔屓して心配とかしちゃいそうだし、部の雰囲気も変えたくないし...みんなで春高目指してるから、そのために頑張ってるのに、水をさしたくないって思ったの。』
「そっかあ。」
『あ、でも、卒業式までには告白するかも! かおりちゃんが、今年が最後って言ってくれたのも凄い印象に残ってるから!! 』
「はは、そっか! 」
かおりちゃんは、同い年だけどお姉さんのように私の頭をくしゃっと撫でてくれた。
「舞衣ちゃんが決めたことなら、私も応援するよ! 」
にこりと笑ってくれて。ソバカスが可愛い。
『かおりちゃんーー! ありがとう、だいすき! 』
「なんで急に!? まあ私も好きだけどね! 」
思わず抱きつけば、かおりちゃんはTシャツ姿でよしよしとしてくれる。
そのあとすぐ雪絵ちゃんが入ってきて、「私も〜」と抱きついてきて3人で暑い中団子になった。
そのあと、みんなにもそんな話をして。
みんな、かおりちゃんと同じようなことを言ってくれて。
ああ、良かった。
私、マネージャーになってよかったなって。
こんなに素敵な友達が出来てよかったって。
そう思った夜は、月が教室の窓から綺麗に見えた。