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黒尾くんと同級生ちゃん

第9章 テストは学生の宿命であり宿敵


こうして。

黒尾くんと、たまにやっくんと海と。
放課後の部活もないのに、ほとんど4人ですごしたこの1週間。

土日も結局、図書室がテスト期間で空いているのをいいことに、いつものように朝から夕方まで図書室に4人でこもった。


『ありがとう黒尾くん、毎日一緒に勉強してくれて。』
「おー。うちのマネージャーのためなら、おやすい御用? 」
『ふふ。』
「合宿行くぞ。明日頑張れよ。」
『黒尾くんもね? 』
「俺は普通にしてれば平気デスーっ」
『わー、自分で言っちゃったー。』


冗談を言い合って、少し笑いあって。
『またね』と言って、黒尾くんの家に背を向ける。

いよいよ明日からテスト本番。

黒尾くんからの厚意を。
やっくんと海からの厚意を。
無駄にしないように。

みんなで行くんだ、合宿。

音駒と、梟谷と、烏野と、生川と、森然と。

また、マネージャーとして皆をサポートするんだ。

そう思った時、ふと、この間の合宿が頭に浮かんだ。

“音駒の主将のこと、1ミリも何とも思ってないの〜? ”

雪絵ちゃんにきかれて。

無理矢理考えることをやめた、あの日の言葉。

1年生の時から、よく見ていた。

背が高くて。
友達が沢山いて。

まさか3年生になって。こんなに話して、それどころかバレー部のマネージャーになるなんて。思ってもみなかった。

前から、バレーボールをやっている姿は何となく凄いなぁと思ってたけど。

部活でしか見せない表情。

後輩をよく気にかけて。世話焼きで。ふざける時もあるけど。

背筋を伸ばした、主将の姿。

黒尾くんに対して抱いていた感情。

この数ヶ月で、背が高くて優しいな、だけじゃなくなった。

格好良いなと。
愛しいなと。
面白いなと。
凄いなと。
尊敬しちゃうなと。


『好きだなあ...。』


いつからかだろう。

自然と。さりげなく。
それこそ、飄々とした猫のように。

いつの間に、すんなりと私の心に、入ってきてしまったんだろう。

私、黒尾くんのこと、好きみたい。
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