第9章 テストは学生の宿命であり宿敵
土日合宿明けの月曜は、学校に行くには何とも身体が重たい。
大会後とはまた違った疲れが出ている気がする。
教室に入れば、黒尾くんはまたいつもどおり机に突っ伏していて。
今日は私がスクバを置いた音でも起きなかった。
疲れてるんだなー。
「倉尾、はよーっす。」
『やっくん、おはよ。』
後ろから声をかけてくれたやっくんも、心做しか眠たそう。
「今日から5日間とかダルいなー...」
『わかるー...ねえ、ところで今日の練習ってさ、』
「は? 今日? 」
『え? うん、今日は...』
部活、いつもどおりの予定でいい?
そんなことをきくのは、最近じゃもう日常茶飯事。
なんでそんな怪訝そうな顔をするのだろうと思いつつ、やっくんに話しかけながら机の中にノート類をしまう。
手を入れた瞬間、触れた紙。
なんだろう、と思って、外に出すと、
〝期末テスト範囲表〟
『!? 』
「何言ってんだよ、今日からテスト期間だから部活なしだろ。」
『!! 』
私の言葉への、やっくんの怪訝そうな顔が繋がる。
『わ...』
「わ? 」
『......忘れてた。』
「はあ!? 」
テスト。
テストね。
テスト!!
忘れてた!!
たしかに。たしかに最近、部活が楽しかった。
バレーの知識が増えるのも、みんなのサポートができるのも、楽しくて。
夢中になってて勉強が疎かになりすぎてて焦ったこともある。
けど。
まさかテストまで頭から抜けてるなんて。
むしろ、なんで忘れてたの?
その思考が理解できない。
自分の思考なのに。
え?
なんで?
『ええええ、まって、どうしよ!! 』
「...取り敢えず落ち着けよ。」
『その、哀れんでるような目線はやめてください! 』
「いやだってテスト忘れるって何事だよ、漫画かよ...。」
『やっくんはもう少し私に優しいと思ってた...。』
私とやっくんの小競り合いで、黒尾くんがのそのそと身体を起こす。
「...夜久、朝からうっせーよ...」
黒尾くん意外と寝起き悪いのか。
いつもそんなに良くない目付きが更に良くない。
「おー黒尾。起きたのかよ。てか、煩いの俺じゃねーよ。」
『おはよう黒尾くん...朝からごめんね。』
「んぁ? あー...倉尾、はよー。」