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黒尾くんと同級生ちゃん

第5章 放課後、音駒高校体育館にて


合同練習会を終えて。
臨時マネージャーから正式なマネージャーになって。
仕事を少しづつ覚えて、やれることも少しづつ増えて。
家でも、昔のバレーボールの試合の動画を借りたり、動画サイトで見つけたりして、記録の付け方を練習して。
細かいルールはもちろん、審判のハンドサインも勉強して。
潔ちゃんに、どうしたらみんなの練習の力になれるかとか、潔ちゃんがやってることとかを、きいたりして。

そういえば最近、テーピングのやり方とマッサージの仕方の本を買った。なにか役に立てばいいと思って。

私は他のところみたいに、3年間の積み重ねなんてないからね。
出来ることからやってみよう。
そう思ってやってみたら、意外と性に合ってるみたいで、勉強よりもだいぶ楽しかったりして。
勉強が疎かになりすぎて、少し慌てた。

ボールと掛け声とたまに怒号が飛び交う中、皆と文字通りバレー漬けの日々を過ごして。
あっという間に過ぎた5月。

そして6月。
第1周目に行われる、インターハイ東京都予選。

ここを勝ち抜いたら、全国大会に出れる。
猫又先生曰く、「キラッキラ、ピッカピカのでっかい体育館」ってヤツだ。

あとで聞いた話だけど、黒尾くんと海とやっくんは、1年生の頃から「全国制覇」を掲げてたらしい。
1年生の時から、先輩の前でそう言える度胸は、3人らしいと言えばらしい。
そしてそれは、今も変わらないんだ。

それにしても。

練習前後は、あんなに騒がしくふざけてるクセに。
大会前は、全国大会がどうだとか、今年の強豪だとか、ゴミ捨て場の決戦がなんたらとか、色々散漫なクセに。

試合当日に、みんなの背中があんなに頼もしく思えるなんて。
不覚。
いや、それよりも、誇らしい。


「まぁいつもどおりいこうや。」


黒尾くんの声と、引き締まるみんなの顔。


「マネージャーから、なんかありますかァ? 」
『え? 』


急に振られた。一瞬の思考停止。
みんなからの視線。
なんでここで振るの黒尾くん...!


『えっ...と? ...私、は、全然、マネージャーになってから月日がそんなに経ってなくて...でも。みんながバレーボールやってる姿は格好良いよ。私をマネージャーとして受け入れてくれて嬉しかったし、頑張ってる姿もずっと見てたから...えっと、月並みだけど、...頑張って。』
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