第14章 親友からの電話
『5本成功、交代です! 』
『ドリンクです! 』
『ビブス配りまーす! 』
今日も今日とて、部員に負けないくらい声を出して、
あっちを手伝い、こっちを手伝い。
合宿の時の経験も生きてる。
毎日マネージャー業務におわれてたあの1週間に比べたら、半日の練習はあっという間に過ぎていった。
部内で最後に行われる紅白戦では、黒尾くんのブロックでやっくんのレシーブが綺麗に決まるのを見て。
流石音駒、なんて思ってしまうあたり、私も感化されてきたなぁと思う。
1年生はすっかり部に馴染んでいるけど。
私も少しは馴染んできたかな。
そんなことを最後の方は少し考えて、今日も練習が終わる。
みんなで体育館のモップがけと後片付けをして。
私はスクイズボトルを洗ったりもして。
15分ほどで、来る前と変わらないピカピカの状態になった。
今日は自主練もないから、みんなぞろぞろと帰り道につく。
私は、これから美華とランチだから、ジャージを着替えて軽く汗を拭いて制汗剤をつけて。
お気に入りのイヤリングとリップ、薄いメイクをした。
「あれ、出かけんの? 」
支度の分、他の人より学校を出るのが遅れたけど、校門の前でやっくんと海と黒尾くんに追いついた。
やっくんにそう聞かれて、『うん』と返す。
「誰と? 他校? 」
『美華とー。』
「ああ。」
やっくんは美華のことを知っている。
1年生の時から私がたまに話していたし、今日のように放課後遊ぶ約束をしてたときに、偶然校門前で会ったこともある。
「また美華ちゃんここまで来んの? 」
『うん、音駒まで行くよーって言ってた。』
「ふーん。」
そんな話をしていると、
「舞衣ー! 」
遠くから手を振りながら、パタパタと掛けてくる。
美華の姿。
『美華! 』
私も振り返して。
近付いて、久しぶり! と手を取りあった。
「あれ、やっくん? 」
「オーッス。久しぶりー。」
「久しぶりー! 」
2人は軽く挨拶をして。
『じゃあ行ってくるね! 』
私が3人にまたねとすれば、「いってらー」「気をつけてな」「また明日」と口々に言ってくれる。
美華との久々のお出かけ。楽しみだ。