• テキストサイズ

叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第8章 魔王の告白



燃え盛る炎、

「ぐぁっ!」

断末魔の叫びと真っ赤な血しぶき.......


『空良、あなたは逃げて生き延びなさい』

あなたは、って何?


『嫌です。母上達と離れて生きて行くことなんて出来ません。お願いです。私も共にお連れ下さい』

死ぬか生きるかの選択は、急に目の前にやって来た。


『空良、必ず生きて、幸せになりなさい。人を愛し、愛される日がきっとあなたに訪れます。あなたを何よりも愛しみ、強く愛してくれる殿方の姿が私には見えるのです』


『嫌です。そんな、できません、母上達と離れて私が幸せになれるはず....』


覚悟を決めた表情の母上に、私はうろたえるばかりで何も出来なかった。

「待って、母上.........私を...置いていかないで......」


『大丈夫。父も母もいつでもあなたの心の中にいます。....さぁ、行くのです』

どうしてあの時、母上の言う事を聞いてしまったんだろう........


『嫌です!母上っ!待って、置いてかないで、私も連れてって』

侍女の手を振り払ってでも、その場で命を絶てば良かった。



「.........うっ、母上.....私も.. .....連れてって」


あの時の事を後悔しない日はなく、目を瞑れば必ずあの夜の夢を見てうなされた。


夢の中でどんなに手を伸ばしても、伸ばしても、母上の姿は遠くなっていく。連れて行って欲しいとどれほど願っても、母上は首を縦には振らない。

そして今夜も、伸ばした手が虚しく空を掴み落ち、その感触で目が覚めた。


「っ、............またあの夢........」

顕如様の所にいた時には毎晩見た夢。
ここ最近は見なくなっていたのに.......


ため息を吐き、額に手を当てると、

「凄い汗....」

夢にうなされたからか、気持ち悪いほどに寝巻きも濡れていて、しかも身体が少し怠い。




/ 679ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp