第46章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜
「吉法師は私と信長様の子で、私は信長様の妻です。お誕生日だったのに、こんな思いをさせてごめんなさい」
そう。今日は信長様の生まれたとても大切な日なのに、こんな事になってしまって……
「いや、最高の誕生日だ」
「え?」
「出会った頃の貴様と今の貴様、どちらの貴様とも逢瀬を楽しめたのだからな。これ以上の贈り物など俺には存在せぬ」
「……っ、私もです。私の会いたい人も、大切な日も全て信長様です。私は信長様の妻になれて、吉法師の母になれてとても幸せで、信長様の事をとても愛しています。今日と言う日に生まれて来て下さりありがとうございます」
抱き合い口づけを交わして、互いに言葉では表しきれない想いを伝え合った。
「まずは風呂が先だな」
湖に落ちた私たちはずぶ濡れだ。
「はい。急いでお城に戻りましょう。信長様がお先に入って下さい」
「阿保、一緒に入るに決まっておる」
「ええっ!あ、じゃあ吉法師も一緒に」
(あの子にも寂しい思いをさせてしまったし…)
「あやつは侍女に入れさせろ」
「ええっ!」
「反論は許さん」
「……っ、はい」
(お風呂だけで今日が終わっちゃうんじゃ……)
その後、お風呂で色々ありはしたものの、お誕生日のお祝いは家族三人で吉法師が眠りに落ちるまで続けられた。
「信長様、愛しています。ずっと側にいさせてください」
「俺も愛してる」
毎晩情を交わすと聞いて昨日の私は驚いたけど、忙しい信長様と夜を共に出来る日は実はとても限られている。
だからこそ私達はその限られた夜を大切に濃密に過ごそうと、互いの思いを体を重ね合う事で伝え合う。
記憶を無くしてしまうなんて驚きの事件はあったけど、記憶も無事に戻り、信長様の妻で、吉法師の母で、そして生娘でも何でもないと気づいた私は、信長様の生まれた記念日に、信長様の腕の中で幸せに溺れていった。
終