第44章 私の育った故郷では 〜信長様誕生日sp〜
(ここに来るのが遅くなってごめんなさい。皆が命懸けで守ってくれたから、私は無事に今日を生きてます。そして今、私はとても幸せです。本当にありがとう)
「ここに、寺を建てるか?」
「いいえ、お寺はもう安土に建ててもらいましたから」
「では、こちらに来た際の御殿でも建てるか?いつも日置家のと言う訳にもいかんからな」
「っ、それも遠慮します。皆に昨夜のような私を見せる事はできませんから…」
あんな淫らな私を見たら、皆は驚いて成仏どころじゃなくなってしまう。
「ふっ、一理あるな。昨夜の貴様はいつも以上に扇情的で欲を駆り立てられた」
「わーーーっ!それ以上言わないで、っん!」
不意をつかれた!
「んんっ!」
軽い口づけかと思ったのに、信長様は私の頭の後ろをがっちりと掴んで舌を差し込んだ。
「っ、…の、信長様、こんな所で」
「こんな所だからだ。皆に、俺がどれほど貴様を愛しているかを見せつけておく」
「えぇっ!」
「さすれば奴らも安心して眠りにつけるだろう」
「っ、」
そうかもしれない。なんて思ってしまうような子になった私をみんな許してほしい。でも本当に幸せで、私の愛した人を皆に紹介できて良かった。
「お、お誕生日の特別ですからね」
「それで良い。誕生日とは実に良いものだな」
その言葉を合図に、どちらともなく抱き合って唇を寄せた。
愛する人の誕生日を大切な人たちと過ごした思い出の地で祝うことができた奇跡に感謝しながら、私は信長様の口づけを幸せな気持ちで受け止めた。