第43章 大掃除も楽じゃない〜新年特別編〜
大晦日の朝、小夜ちゃんと二人、大広間とその横の広間の掃除へとやってきた。
「わぁっ!すごいっ!」
大広間の横の広間には、年末の挨拶に訪れた大名や商人、伴天連達から献上された品々が所狭しと置かれていた。
「ほんとすごい数だね」
小夜ちゃんも圧倒されたのか、ポカンと感想を述べた。
「うん。でも明日からの年始の挨拶でまた増えると思うよ?」
「えー!これ全部天主へと運ぶの?」
「ううん、多分信長様が気に入った物だけを選んであとは秀吉さん達家臣や客人に分け与えるんじゃないかなあ」
「へー、そうなんだ。空良は何も貰わないの?」
「私?うーん…欲しい物なんてないし使い方も分からないし…貰わないかな?まぁ、珍しいお菓子とか、吉法師に直接頂いたものは頂くけどね…?」
私には信長様が自らが選んだ物を下さるし、ここにある品物のほとんどは、茶器や陶器や海外の武具など男心をくすぐる物だから、色々な商談や交渉に便利なのだと信長様は言っていた。
「ふーん、私だったら適当に一つ手に取って欲しいって言うけどなぁ。ほら、これなんかちょうどいい大きさじゃない?」
小夜ちゃんはそう言いながら桐の小箱を一つ手に取った。
「さ、小夜ちゃん、あまり触らない方がいいよ?」
日ノ本や諸外国から集められた珍しいものばかりで、この中のどれをとっても城が一つ買えるとかなんとかって秀吉さんが言ってた気がする…
「何で?中身気にならない?」
「気に…はなるけど…」
「でしょ?ちょっと見るだけだから」
焦る私に構わず小夜ちゃんは桐箱の蓋を開けた。
「………っ、何これ…っ!」
蓋を開けた小夜ちゃんは中身を見て驚きの声を上げた。
「どうしたの?何が入ってた?」
私も気になり小夜ちゃんの手元を覗くと…
「…ん?…こけし?」
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(木造りのこけしみたいだけどいやに歪に曲がって……)
「………あっ!」
(違う、こけしじゃないっ!これ男の人の…)
「な、なんか変なの開けちゃったね……」
小夜ちゃんも中身が何かを分かったのか、そっと畳の上に置いた。
それは、男性のアレを模した木製の張形…
大人の玩具をいきなり目にした私たちは言葉を失い、暫くの間じーっとそれを見つめた。(これもお城が買えるほどのモノなんでしょうか?秀吉さん!)