• テキストサイズ

叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第28章 歯車




「信長様、オマケって.....何ですか?」


「あぁ、堺の商人達が使っておった言葉だ。ただで何かをくれてやる事らしい」
(※正確には、大正時代頃から使われている言葉らしいです)


「く、口づけがオマケ?」


「そうだ。得をしたな?」


「そっ、.....そうですね」

そんなドヤ顔で言われても........口づけは強請ってないし...........
でも、信長様の抱擁とオマケのおかげで、幸せな気持ちが広がって心が落ち着いた。


「もう、大丈夫そうだな」

信長様は私の頭をひと撫ですると立ち上がった。


「ど、道中お気をつけ下さい。あと、....あの、...ありがとうございました」



「ふっ、貴様もくれぐれも無理はするな。では、夜に会おう」


ヒラリと馬に跨ると、待っていた家臣達を連れて信長様は港を出発した。





「さっ、空良様、私達も出発致しましょう」

横たわる私の身体に着物を一枚掛けると、麻は駕籠の引き戸を閉めた。




駕籠が動き出すと、また眠気が襲ってきた。

眠るのが怖いと思うのはいつ以来だろう?
眠る時はいつだって信長様の腕の中で安心していたから.......

一人で眠りに落ちて、先程の夢をまた見てしまったらと思うと怖くて瞼を閉じられない。

けれども、体は何故か眠れと言っていて......


「信長様......」


信長様に頂いた温もりを感じながら、重くなる瞼を閉じた。



何故、船酔いなんかをしてしまったのか......

何故、我が儘を通してでも信長様の馬に乗せてもらわなかったのか......

歯車はいつの間にか狂い始めていて.......

この時の私は、まだその事には気がついてなかった。







/ 679ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp