第26章 共に歩む道
「っ........口づけ?」
「そうだ。奴らは約束として、誓いの口づけを交わすらしい」
「な、何だか、照れますね.......」
「あと、誓いの言葉と言うものもあって聞いたが.......全部は覚えておらん」
これを聞いた時は、己には関係のない事だと思っておったからな......
「思い出せる言葉だけでも、思い出して教えて下さい」
空良は頬を赤らめながらも、その目はキラキラと期待に満ちていて,..........
喜ばせてやりたくなり、頭の隅に追いやった記憶を必死で掻き集めた。
「.......ああ、確か........... 喜びのときも、悲しみのときも、その命ある限り真心を尽くすことを誓うとか何とかであったな.......」
「ち、誓いますっ!この命ある限り、信長様に真心を尽くして、立派な妻になれるように頑張ります!」
飛びかかりそうな勢いで誓いを言う空良を再び抱きしめた。
「俺も誓う。この命ある限り、貴様に真心を尽くそう。妻となる道は険しいやもしれんが、必ず貴様を幸せにする。空良、俺の妻となれ」
「っ.....はいっ......」
聞きたかった空良の気持ちと返事を聞き、俺は強く空良を抱きしめ何度も口づけた。
二人で共に歩み進もうと決めた道は、思った以上に険しく辛いものとなってこの先空良を苦しめて行く事になるが、この時の俺たちはまだ何も知らない。
ただ、試練を乗り越えた先には必ず光が差し込むと信じて、俺達は未来への一歩を踏み出した。