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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第23章 姫の反乱



ある日の昼下がり。


「家康、この薬はこの棚でいいの?」

「うん、良いよ。気をつけて置きなよ?」

「うん。ありがとう。.......よっと、」

年末の大掃除の為、私は家康の部屋の薬棚の整理に来ていた。

棚の埃を取るには一度薬壺を全て動かして棚を拭いていく為、中々手間のかかる作業の最中だ。

「くれぐれも無理はしないで。あ、あと赤い薬壺には触らないで。毒薬とかの危険薬だから」

「あ、分かった。赤ね。気をつける」

手を伸ばそうとしていた薬壺がちょうど赤色で、私は慌てて手を引っ込めた。


「でも正直、あんたが手伝ってくれて助かる」

薬研を曳きながら、家康は優しい言葉をかけてくれる。

「そんな風に言ってくれてありがとう。家康は、今日は何の薬作ってるの?」

「うーーん、一言で言うのは難しいけど、まぁ色々だよ。今日中に作りきっておきたいから」

「そうなんだ。家康もだけど、武将のみんなって忙しいよね」

普段の軍議や書類の作成だけでも大変そうなのに、武将達は皆それぞれの領地の仕事も抱えているから、やる事は日々山積みだ。


「あの人の下にいて暇って事は無いからね。そう言うあんたも、最近は小物作りの仕事始めて城下にも一人で出てんるだって?そっちの方が忙しそうだけど......」


「あ、仕事の事聞いたの?」

「少しだけね。急に護衛を付けるとか、それを誰にするかとかで秀吉さんが騒いでたから」

そんな事が......

「でも、何度か出かけてるけど、護衛の人に会った事ないよ?」

「ああそれは、あんたを少しでも自由にしてあげたいって言う信長様の配慮で、見えない様にいつも付いてるから。でも、何かあった時は直ぐに駆けつけるから安心しなよ」


「そうなんだ。何か、お出かけするだけなのに迷惑かけてるなんて、申し訳ないな」

「クスッ、考えすぎ。あんたが来てから色んな事が良い方向に変わってるのは事実だから。そこら辺は甘えても良いんじゃないの?」


わっ、家康が笑った!ちょっと珍しいかも。


「よく私が来てからお城が変わったって、みんなも言ってくれるけど、そんなに違う?」


私は、来てから長らく天主と湯殿の往復、その後はお城の掃除を黙々とこなしていただけだから、その間に何が変わったのかは全然分からない。信長様は会った時からほぼ変わらないし........

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