第15章 道
「お前には、まだこれからも迷惑をかける事になる」
「えー!そんなの望むところです。まずは皆の説得からですよね。 空良に負けないように俺達も頑張りましょうね」
「そうだな、負けてはおれんな」
空良、お前がこれから進む道が修羅の道とならねば良いが......
真実を信長に委ねた今、私には、お前の未来がお前の心のように清く真っ直ぐであるように祈る事しかできない。
空良、幸せになれ........
・・・・・・・・・・
蘭丸様達を見送った後、私達は天主へと戻った。
二人が脱獄した事は、きっと翌朝には大騒ぎになるだろうと信長様は言っていたけど、その顔は終始楽しそうで、私の中の罪悪感を払拭してくれた。
「信長様、本当にありがとうございました。私には返せるものが何もありませんが、一生をかけて信長様にお仕えさせて頂きます」
感謝をどれほどしても足りない事は分かっているけど、何も持たない私にはこの方法しかなく、板の間に手を付き頭を下げて感謝の気持ちを伝えた。
「こ度の事、貴様は何も関係ない。あれは小姓としてよく俺に仕えた蘭丸への餞別だ」
優しい言葉で再び私の罪悪感を消してくれると、私の手を引き信長様の膝の上に乗せられた。
「だが礼はもらってやっても良い」
「え、....ん、」
ちゅっと、優しく唇を奪われる。
「れ、礼って.......」
(身体で払うって事?)
唇を離し見つめるその熱のこもった目を見れば、何を意味しているのかは分かる。
「ふっ、言わねば分からぬほど鈍感ではあるまい?」
ぷにぷにと私の唇を押しながら艶のかかった声で言われると、余計に体は火照り顔が熱くなる。
「っ、.....」
毎夜の如く抱かれていて、今更これが信長様へのお礼になるのかは分からないけど、私がこの二人だけの時をとても愛おしいと感じるように信長様も感じてくれているなら嬉しい。
恥ずかしくて返事はできなかったけど、信長様の唇に自分の唇を重ね抱きつけば、口づけは深いものへと変わり、ゆっくりと体を褥へ倒された。
「愛してます」
「ふっ、当たり前だ。愛してる」
合言葉のように愛を囁き合った後は、ひたすらに愛を注がれ、私は今夜もまた愛しい人の腕の中で眠りに落ちた。