第12章 寄り道 前編
「信長様?.......あっ、んんっ!」
背後から突き刺すような甘い刺激が身体を突き抜ける。
「あっ、........あっ」
パンパンっと、身体同士がぶつかり合う乾いた音と、ばちゃばちゃとお湯の騒ぐ音が交互に耳に届く。
身体は外気に晒されても熱はどんどん上げられていく。
パンっ!と、一際大きな音と共に、最奥を突かれた。
「ひゃぁぁぁんっ!」
「くっ、愛らしい声だな。ここか?」
パンっと、信長様は楽しみを見つけ出したように声を弾ませ何度も突き上げる。
「はっ、あっ、だめっ.......そんなにしたら......」
もう、手をついていられる限界が迫っていて、何も考えられない。
「いきそうだな。.............っ、......共にいかせろ」
「はっ、あっ、信長様..........私も........んんっ、んぅぅ............」
私も一緒にいきたいと言いたかったけど、速まる律動に身体を保つのに精一杯で、言葉は紡げなかった。
信長様の熱が身体の中に放たれるのを感じた後も、私達は抱き合ったまま、荒い呼吸を混ぜ合わせる様に何度も口づけ合い、お互いの存在を確かめ合った。
『必ず生きて、幸せになりなさい。人を愛し、愛される日がきっとあなたに訪れます。あなたを何よりも愛しみ、強く愛してくれる殿方の姿が私には見えるのです』
そう言ってくれた母上はもういないけれど、
『ほらね、私の言った通りになったでしょう?』
と言って微笑む母上の顔が思い浮かび、私は信長様に気づかれない様に、一粒の涙をそっとこぼした。