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もうひとつの記憶

第2章 俺



ここは、俺の暮らす家だ。

着物を着崩して、左足を立て右足を伸ばして床に座る。

畳の上で、邪道ではあるが構わない。

ここは俺の部屋だ。文句は言わせねぇ。

でも、アイツは言ってたな。

「せめてお姉さん座りにしてよ」って。

アイツの声を最後に聞いたのはいつだったかな。

まぁ、俺には関係ねぇや。

畳に寝転ぶと、藺草(イグサ)の若い匂いがした。

古く汚い天井と、青い匂い。

俺は、慣れてきた筈の景色に、実感が持てなかった。
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