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もうひとつの記憶

第4章 私達


裏山。
整備された道と、両手側に広がる木々。
ここで、君は確かに微笑んでいた。

山を20分ほど登った場所。
少しだけ開けた場所にでる。

「居ねぇな。」

俺は思わず呟いた。
俺達の三つの気配と、木々に寄り添う虫達の息しか感じなかったからだ。

「ここで、〇〇〇は笑ってたね。
私をまっすぐ見てくれてた…。あの時は。」

私は苦笑した。余りにも美しくて、悲しい記憶だったから。
もう見れないかもしれない。
信じていても、微かに頭を過る不安に。

「ここでも公園でもないなら、何処かな?」

わたしはしゃがんだ。
地面に少し手をついて、大地の鼓動を聞く。

――会いたい。

三人の内、誰かが呟いた。
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