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もうひとつの記憶

第2章 俺


「〇〇〇…。」

俺がつい呼んだ名前は、とても呪われた名前だった。

つけた本人が呪ったんだから、そりゃそうだ。

俺は響き的に好きだが、アイツの性格が嫌いだった。

目を瞑ると広がる闇の中で、笑顔が思い浮かんだ。

大切な奴を残して。

言わないといけないことを残して。

静かに、幸せそうに消えたアイツが嫌いだ。

「…阿呆。」

俺自身に向けてか、アイツに向けてか。

呟く声に誰も、答えはしなかった。
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