第9章 少しだけ未来の話(銀時裏夢)
「つーか、俺たちは神武に呼ばれて来た客だってのに、何でコイツに絡まれなきゃならねーんだ」
「皆さん、本当にすみません。ほら、銀ちゃんも謝ってよ」
「何で俺が……」
「今日は御礼をするために来て貰ったの。今用意するので、待ってて下さいね」
そう言って厨房に行った遼は、お盆を手に戻って来ると、三人の前にそれぞれケーキの載った皿を置いた。
「まだ試作品ですが、お味見お願いします」
「え?何?どういう事??」
「皆さんには、新作のアイデアに協力して貰ったの。それで、今日は試食も兼ねて来てもらったのに……」
じろりと睨まれ、銀時は思わずたじろぐ。
「別に。では皆さん、気を取り直してどうぞ」
「おお、うまそうだな。いただきます」
「沖田さんのはタバスコチョコレートケーキ、土方さんはマヨネーズケーキ、近藤さんはバナナケーキに沖田さんと土方さんのアイデアミックスしたものになります」
「おえ。なんだそりゃ、犬の餌以下じゃねぇか」
明らかに嫌そうな表情になる銀時を無視して、遼は三人に「いかがです」と尋ねた。
「トッピングでマヨネーズが追加出来れば完璧だな」
「まあまあじゃねぇですか」
「これならお妙さんに差し入れしても殴られずに済みそうだ」
「良かった。じゃあ、改良して商品として並べますね」
和気藹々と話す四人に、完全に蚊帳の外になってしまった銀時は不満げに舌打ちをする。
「旦那ァ、男の嫉妬は醜いですぜ」
「そうだぞ。俺なんか、お妙さんが他の男とチョメチョメなんて、ちょっと興奮するからな!」
「変態と一緒にすんな!俺はノーマルなんだよ!!」
「だったらちゃんとプロポーズでも何でもすりゃあいいじゃねぇですか。今ここで」
ケーキを口に運びながらあっさりと言ってのけた沖田に、銀時は「ゔっ」と言葉に詰まった。
その様子に、土方は煙草の煙をふうっと吐いて笑う。
「嫉妬で俺たち突っかかるくれぇなら、神武にハッキリ伝えて、キッパリフラれろ」
「何でフラれる前提なんだよ!」
「一回スルーされてんだろーが!」
言い争い始めた銀時と土方に、近藤と沖田は呆れたと溜息をついた。
渦中の遼はと言うと、どうしていいかわからずあわあわとしている。
「わかったよ!上等だよ、言ってやるよ!!
遼!!」
「えっ、あ、はい」