第9章 少しだけ未来の話(銀時裏夢)
「て、事は、今までのは全部俺の勘違いって事か?」
ズルズルと座り込んだ銀時に、遼は思わず手をのばす。
あまりの落ち込みように、何だか悪いことをしてしまったような気がしてしまい、銀時の頭をよしよしと撫でた。
「疑われたのはムカつくけど、私は浮気も妊娠もしてないからね」
暫く頭を撫でていると、手首を掴まれる。
「どうしたの、嫌だった?」
「嫌じゃない……けど、撫でるなら違う所がいい」
「まだ二日酔いが抜けないの?」
だったら背中を撫でればいいのかと思っていると、引き寄せられて強く抱きしめられた。
「銀ちゃん?」
名前を呼んでも反応が無いので、遼は抱きしめられたまま銀時の背中を撫でる。
何だか大きな子どもみたいだなと思っていると、回されていた腕がゆっくりと降りていき、帯に指が掛かった。
「ちょっ、銀ちゃ……んんっ」
「んっ、ちゅっ、はぁっ」
深く口吻られ、遼は離れようと銀時の胸を押すが微動だとせず、侵入してきた舌に翻弄される。
暫く遼の口内を蹂躙した銀時は、最後にチュッと舌を吸い上げて唇を離した。
「んっ、ふっ」
「っは、えっろい顔」
「はぁっ、んっ、急に、何?」
「なぁ、本当に作っちまわねぇか」
「え?」
咄嗟に意味がわからず首を傾げた遼の臍の辺りをゆっくりと撫で、銀時は「ここ」と指差す。
「ここって……っ!」
「な、どうする?」
銀時の意地悪な聞き方に、遼は顔を赤くして目を逸らした。
熱を帯びうっすらと赤くなった遼の耳朶を甘噛みし、銀時は囁くように促す。
「俺は、欲しい。遼も、子どもも」
「でっ、でも銀ちゃん子どもは嫌いだって」
「んー、まぁ嫌いは嫌いだけどな。でも、オマエと俺の子どもは別だろ。好きな女に産んでもらった子どもなんて、嫌いになんてなれねぇよ」
「何か、微妙な感じ」
「こんな事で嘘ついたってしょうがねぇだろ」
ふっと笑った銀時につられて、遼も「そうだね」と言って笑った。
「銀ちゃん、責任とってくれるんだ」
「たりめーだ」
「そっか。じゃあ、いいよ」
「なら、やるか」
「その前にお風呂入ってくるね」
伸ばされた銀時の手をぺしりと叩き、遼は風呂場へ急ぐ。