第5章 絆される(神威裏夢)
「団長、いらっしゃいますか?」
声を掛けるが反応が無いので、遼は溜息をひとつついて扉を開けた。
「失礼します。やっぱりいらっしゃいましたね」
「あれ?
おっかしいなぁ、ロックしてたと思うけど」
「この艦のセキュリティが、私に外せないわけないじゃないですか」
「こういうの、プライバシーの侵害って言わない?」
「言いませんね。そんな事より、仕事して下さい」
あっさり切り捨てる遼に、神威は「そんなのは阿伏兎にさせればいいよ」と笑う。
「副団長には、既に睡眠時間を削減した上で業務を行って頂いています」
「んー、でも俺、バカ団長だから出来ないよ」
「大丈夫です。バカでもアホでもマヌケでもトンマでもマダオでも理解できるようにご説明しますから」
「じゃあさ、俺をその気に出来たら仕事に専念してあげる」
神威の発言に、遼は眉を寄せて首を傾げた。
「男をその気にさせるなんて、一つしか無いだろ?」
「仰っている意味がわかりません」
冷たく言い放った遼に、神威は「意外とウブだったんだな」と笑う。
神威の真意を理解した遼は、明らかに侮蔑した表情で溜息をつく。
「……そういう行為をお望みなら、専門の方をお呼びしますよ」
「そんなの待ってられないよ」
手首を引かれ、気が付いたらベッドに仰向けにされていた。
「私は、団長の性処理まで承ったつもりはありませんが」
「俺に仕事をさせたいんだろ?」
「……口で構いませんか」
こうなっては無駄だと諦めた遼は、盛大な溜息とともにそう尋ねる。
「んー、そうだな。満足出来たらそれで終わりでいいよ」
「では、失礼します」
ベッドから起き上がると、遼は神威に端に座るよう促し、上着を脱いで髪を緩く纏めた。