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魂の色【銀魂短編夢】

第4章 執着(土方裏夢)


部屋に入るなり、土方は遼を強く抱きしめた。

「十四郎さん、ちょっと苦しいです」
「そうか」

返事はするものの、一向に手を弛めることのない土方に、遼は困惑しつつも身を預ける。

「……風呂入ってこい」
「?」
「総悟や……アイツに触れられた所、しっかり洗っておけよ」
「十四郎さんは?」
「俺ァ……煙草吸ってる」

そう言って腕が離され、遼は黙って浴室に向かった。
残された土方は、広縁の椅子に腰を降ろすと煙草に火をつけて肺一杯に煙を吸い込む。

「情けねぇ」

嫉妬も独占欲も抑えられない。
ただただ、心が、体が、遼を求める。

「こんなつもりじゃなかったんだがな……」

昔愛した女の手は、突き放す事が出来た。
精一杯自分に言い訳して、そんな事に現を抜かすわけにはいかないと、律することが出来たのに。
今が平和な世だからだろうか、何も考えず求める自分がいる。

「笑われるか、呆れられるか……」

酷い言葉で突き放した土方を、罵ることもなく居なくなった彼女はどうするだろうと考えていると、携帯電話が遠慮がちに音をたてた。

「もしもし。何だ、山崎か……ああ、わかった。引き続き捜査してくれ」

溜息をついて携帯電話を閉じると、「お仕事ですか?」と声を掛けられる。

「ただの中間報告だ。気にするな」

立ち上がり、抱き寄せて、啄むように口吻ると、少しだけ唇が開かれた。
舌を差し入れ口内を犯すと、甘い吐息が漏れる。
行為を求めるようなその声に、土方は堪らず遼の舌を甘噛みして吸い上げた。
びくりと震えて身を預けてきた遼を布団まで運び、寝かせると、もう一度深く口吻る。

「んっ、ふぅっ……っあ」

すっかり蕩けた表情になっている遼に、土方は笑みを浮かべた。

「十四郎、さん?」
「いい眺めだな」

首を傾げる姿に、嗜虐心をかき立てられた土方は煙草に火をつける。

「あの……」
「折角だ、いつもと違うのもいいだろ?」
「いつもとって、きゃあっ」

寝間着の帯を解かれて、突然足を開かれた。

「濡れてねぇな……」
「ちょっ、十四郎さん」
「思い出して、濡らしてみろよ」
「え?」

土方は広縁の椅子に腰掛け、遼を眺める。
灯りがついたままの部屋では、遼の姿はよく見えた。
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