第24章 ハッピーメリークリスマス【神楽友情夢】
満面の笑みを浮かべた遼に、銀時は「じゃあ」と立ち上がり、寝室へ入って行った。それにつられるように、新八と神楽も後を追う。
遼が首を傾げていると、にやにやと笑いながら三人が戻ってきて、ますます首を傾げた。
万事屋三人は顔を見合わせると、神楽の「せーの」という合図と共に背中に隠していた手を前に出す。
「「「メリークリスマス」」」
「え?」
「僕たちも、遼さんにプレゼントを用意していたんです」
「えっ、でも、さっきお箸と食器を……」
「あんなのは万事屋の備品だ。で、クリスマスプレゼントはコレ」
「遼、受け取ってほしいアル」
極上の笑顔を浮かべた万事屋に、遼はくしゃりと顔を歪めた。
「……ありがとう、みんな」
「遼、まずは私のから開けるネ!」
神楽のプレゼントを受け取った遼は、包みを開いて僅かに驚く。
「私も、遼へのプレゼントは髪留めにしたアル。もちろん私とお揃いネ」
ポケットから遼に渡した髪留めと同じ物を取り出した神楽は、白い歯を見せてにこっと笑った。
「ありがとう、神楽ちゃん。すっごく嬉しい」
「遼が嬉しいと、私も嬉しいアル!」
「じゃあ次は新八のプレゼントな」
「えっ、銀さんが先でいいですよ」
「俺のは最後でいいんだよ。ほれ、新八早くしろ」
「はいはい。遼さん、どうぞ」
「ありがとう。……わぁ、きれい」
取り出したそれを見て、遼は目を細める。きらきらと輝くそれは、江戸の女子に流行しているデザインの帯留めと掌サイズのハンドクリームだった。
「定番の贈り物で申し訳ないんですが、姉上から薦められて」
「ありがとう。何だか普通の女の子になったみたいで嬉しい。お妙さんにも、喜んでたって伝えておいてね」
「はい。姉上も喜びます」
「じゃあ、最後は俺だな」
そう言って、銀時は掌大の包みを遼の手の上に乗せる。やたらにやにやしている銀時を訝しがりつつ、遼はその包みを開いた。
「これって……」
「万事屋の予備メンバーだからな」
「──ずるいよ、銀ちゃん」
遼の瞳にうっすらと涙の膜が張ったのを見て、銀時は口の端を上げる。