第24章 ハッピーメリークリスマス【神楽友情夢】
銀時と新八を見送った遼と神楽は、万事屋に戻り、二人で台所に並んだ。
「ケーキは箱から出して冷蔵庫に入れておこうか。二人が帰って来たらすぐに始められるようにしないとね」
「遼、一体どうするつもりアルか?」
「ケーキはね、トライフルにしちゃおうと思って」
「トラ…?」
「ケーキとかフルーツを重ねて作るケーキなんだけどね、確かここに……あったあった、プリンの空き容器があるからこれで作るよ」
にこにこと楽しそうな遼と反対に、ついて行けない神楽はますます首を傾げる。神楽が困惑していることに気付いた遼は、プリンのカップを五つ並べると神楽の頭をよしよしと撫でた。
「潰れたケーキをね、うまい具合にカットしてカップに入れて、フルーツとかを飾っちゃうの。銀ちゃんに色々頼んだから、帰って来たらみんなで作ろう」
「遼……」
「この間私も仕事で失敗しちゃってね、近藤さんに言われたんだ。「失敗するのは仕方ない。大事なのはそれをどう受け止めるかだ」って。あ、神楽ちゃんキッチンペーパー用意して」
カップを洗った遼は、それを神楽に渡して「しっかり拭いてね」と頼むと、冷蔵庫からポテトサラダと仕込んでいた唐揚げ用の鶏肉を取り出す。
「拭き終わったら、ポテトサラダを大きいお皿に出してね。で、周りにプチトマトとゆで卵を飾ってね。あ、お寿司も持っていかなきゃ」
慌ただしく指示を出しながら準備を進める遼に、神楽も釣られて指示に従った。そうしていると少しだけ気が紛れたし、救われるような気がした。
神楽の様子に遼はほっとした表情で微笑むと、襷掛けをして割烹着を着込む。
「よし、私も頑張らなきゃ」
気合を入れ直した遼は料理の続きを始めた。暫くすると銀時たちが戻ってきて、頼んでいた物を確認すると遼は満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう。もうすぐできるから――」
「何を手伝やぁいいんだ?」
「折角だから、僕たちにも手伝わせてください。皆でパーティを成功させましょう」
「……うん、二人ともありがとう。じゃあ、こっちをお願いしてもいい?」
「任せとけ。神楽、遼を手伝ってやれ」
神楽の頭をポンと叩いた銀時は、手を洗って遼の作業を引き継ぐ。