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魂の色【銀魂短編夢】

第3章 アイの無い形(真選組逆ハーギャグ)


午前五時。

「うっ……」

あまりの寝苦しさに、遼は寝返りをうとうとするが、まるで羽交い締めにされているように体が動かない。

「くるし、んっ……」

無意識に呟いて目を開くと、鼻がつくほどの距離に土方の顔があった。

「っ!」

思わず叫びそうになり、ぐっと飲み込む。
昨夜の記憶が一気に蘇り、頭の奥で冷静な自分が「落ち着け」と宥めてきた。
ゆっくりと視線を落とし、布団の中を確認すると、自分も土方も割ときっちり着物を着ている。
多分、恐らく、何も無かった。
腹に回されている手に気付いて後ろを向くと、沖田の寝顔が見え、やっと自分の状況を理解する。
何とか抜け出そうとモゾモゾしていると、土方がゆっくりと目を開いた。

「んっ……もう起きたのか」
「?!」

まるで恋人がするそれのように額に口吻られ、遼は真っ赤になって硬直する。
それを好機と、土方は遼をぐっと抱き寄せた。

「可愛いな」

普段の土方からは絶対に出てこないであろう言葉をかけられて反応に困っていると、今度は頬に口吻をされる。
このままではマズいと体を捩らせて、遼は自分の腿の辺りに何かが触れている事に気付いた。
それが何か解らないほど子どもではない。

「ひっ、土方さんっ、ちょっと離れて」
「何でだよ」
「いや、だって、その……」

口にするのは憚られもごもごとしていると、土方は「生理現象だ。気にするな」と遼の耳朶を甘噛みした。

「んひゃあっ!」
「変な声」

くつくつと、揶揄うような笑い声に遼は心の底から愛染香と桂を恨んだ。
絶対に許さない。
次会ったら捕まえて、めちゃくちゃ恥ずかしい思いをさせてやると、心に強く決める。

(それより目下はこの状況を何とかしないと……意識を失うまで殴ればいいかな?)

などと物騒な事を考えていると、後ろに体を引かれた。

「おわっ!」
「土方さんの相手なんてしてねぇで、こっちに集中しな」
「えっ、あ……」

わざとだと解るほど体を押し付けられ、遼は思わず沖田に肘鉄を食らわせてしまう。

「うえっ!」
「ああっ、すみません!つい反射で!!」

思わず遼に回していた腕を外して苦しむ沖田に、遼は「悪意はないんです!殺意はあったけど!」と言い訳をした。
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