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魂の色【銀魂短編夢】

第24章 ハッピーメリークリスマス【神楽友情夢】


「でも、遼ちゃんお料理も得意なんてすごいわね~。本当、遼ちゃんには新ちゃんのお嫁さんになってもらって、ぜひ家を継いでもらいたいわ」
「アネゴぉ、新八に遼はもったいないアル」
「でも、新ちゃんと結婚すれば、もれなく江戸の一等地がついてくるのよ。舅姑も居ないし、中々の好条件だと思うんだけど」
(小姑がもれなく付いてくるの忘れてるネ)

心の中で呆れながらも、神楽はふとそれも良いのかもしれないと思い至る。新八は遼に好意を抱いているし、妙と遼は友人として良い関係を築いており、実は遼の気持ち次第で二人の結婚は悪くない将来なのだ。
勿論、神楽にとっても同じことが言える。万事屋でいる以上、新八と神楽の繋がりが切れる事は無い。けれど、遼は万事屋ではなく真選組の隊士だ。銀時の昔馴染みだという理由で万事屋に出入りしているが、いつかその繋がりも薄れてしまうかもしれない。

「神楽ちゃん、そろそろ行くわね」
「バイバイアネゴ。また遼と一緒に遊びに行くアルよ」
「ええ、楽しみにしているわ」

妙と別れた神楽は、少し重くなった足取りでケーキ屋へ向かった。遼がいつか「誰か」のものになる未来を考えたことがないわけではない。遼の性格上、恋に溺れて友人を蔑ろにする事は無いだろうが、優先順位に変化がつく筈だ。
今はまだ、それが少しだけ恐ろしい。
そうこう考えている内に目的のケーキ屋に到着し、引換券を渡してケーキの箱を受け取った。
クリスマス仕様の箱に入れられたケーキに、神楽のテンションも上がり、自然と笑顔になる。

「定春、急いで帰るアルよ!」
「わんっ!」

走りだそうとして、神楽は慌ててブレーキを掛けた。

「危なかったアル。定春、慎重に歩くネ。じゃないとケーキがぐちゃぐちゃになっちゃうアル」
「わうっ!」

一人と一匹は、そろりそろりと足を出す。その姿を、道行く人々は微笑ましいと見守っていた。彼らを除いて。

「オイ、何怪しい動きしてんでぃ」
「うげっ。最悪なもん見ちまったアル」

露骨に嫌そうな顔になる神楽に、声を掛けた沖田も盛大に顔を顰めた後、神楽の手に持つものを見て納得した。

「ケーキか」
「お前にはやらないアル」
「いらねぇよ。昨日遼と食ったからな」
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