第22章 本気で悪戯すると後が大変【沖田、土方夢?】
「うーっ、さすがに目がきつい」
「遼ちゃんはまだいいよ、副長にボコられてないんだから」
「山崎さん、治るまで寝てていいですよ」
「寝てたいのはやまやまだけど、ばれたらまたボコボコにされるのがオチだからね」
「まあ、そうですよね。沖田隊長、ふて寝してないでキリキリ働いて下さいよ」
すでに飽きて縁側で寝転がっている沖田に声をかけるが、起きる気配すらない。
溜息をついた遼は、近づいてアイマスクを引っ張った。
「起きてるじゃないですか」
「書類整理なんて、遼と山崎でやりゃあいいだろ」
「主犯が何言ってるんですか。これが終わるまで通常任務に戻れないんですよ」
「せいぜい頑張りな」
「そうさせて頂きます」
目いっぱいアイマスクを引っ張って手を離すと、バシッという音と共に沖田が「痛ってぇ、何しやがんだ」と文句を言うが、遼は呆れた顔で席に戻る。
「さ、もうひと頑張りするか」
結局今回の悪戯が成功したのか失敗したのかはよくわからないが、沖田の機嫌がすこぶる悪くなったことは確かだった。
どうしてあんなに不機嫌なのかと山崎に尋ねると、非常に複雑な表情で「俺の口からはちょっと」と言われてしまい、遼はますます首をひねった。
沖田の事は頭の中から取っ払い、書類整理に集中して取り組んだからか、暗くなるころには山の半分以上が処理済みになった。
「明日中には終わるかなぁ……山崎さん、そっちは――まだまだですね。というか、増えてませんか?」
「えっ、あ、沖田隊長、俺の方に回さんでくださいよ!」
「山崎ィ、おめーならできるはずだー」
「いやいやいや、押し付けてるだけじゃないですか」
慌てる山崎に、遼はやれやれと溜息をついて寝転がる沖田の傍で膝をつく。
「沖田隊長、少しは手伝いますから、もうちょっとだけ頑張りませんか?」
「遼ちゃん、甘やかしたらダメだっ――ふべらぁっ!」
「邪魔すんじゃねぇ。遼、手伝わせてやるから、先に飯食いに行くぞ。山崎、俺と遼の分を俺の部屋に運んどけよ」
「あっ、ちょっと。山崎さん、お願いしますね。もうっ、待ってくださいよ」
沖田を追いかけて出て行った遼に、山崎は「まじで」と一人虚しく呟いた。