第22章 本気で悪戯すると後が大変【沖田、土方夢?】
下手に小細工せず、待ち伏せをする。
どのみち叱られるのだ。だったら正面から当たって砕ける方が、後腐れがない。
部屋の前の縁側に座っていると、朝議を終えた土方が戻って来た。
「遼、お前何でここにいるんだ?」
「副長に、お話したいことがありまして。少しだけ、よろしいでしょうか?」
「あ、ああ。取り敢えず、中に入れ」
促され、土方に続いて部屋に入った遼は、腰を下ろした土方の向かいに座る。
「副長、これを読んでいただけますか」
ポケットから出した封筒を土方の前に差し出すと、遼は俯いて膝の上の拳をぎゅっと握り込んだ。
がさがさと封筒を開ける音に体を強張らせる。
訪れた沈黙に、遼は恐る恐る土方の顔色を窺った。
「あの、その、すっ、すみませんでしたぁぁぁっっ!」
突然土下座した遼に、土方はびくりとして体を引く。
「えっ、おい」
「すみませんでした!!私も悪いんですけど、主犯は総悟く――」
「遼、落ち着け!」
畳に額を擦り付けんばかりの土下座をする遼を、土方は慌てて止めた。
「これは一体どういうことだ?」
「は?」
顔を上げた遼の前には、真っ白な便せんが一枚。
「え、封筒の中身ってこれだったんですか?」
「ああ、他には入ってなかった」
遼がぽかんとしていると、スパンと音を立てて障子が開かれ、沖田と山崎が入って来た。
「ったく、もうちょっとうまくやりやがれ」
「総悟、山崎、お前ら一体……」
唖然とする土方に、山崎が恐る恐る背中に隠していた紙を広げて見せる。
そこにはでかでかと「ドッキリ大成功」と書いてある。
瞬間的にその言葉が理解出来なかった土方は、何度か瞬きを繰り返してから、殆ど半泣きで自分を見上げる遼を確認した。
「どういう事だ?」
「えっと、あの……くっ、詳しくは総悟くんが説明します!」
「書いてあるままの意味ですぜ。ドッキリ大成功~」
おどけた口調で沖田が答えるが、尚も意味が理解できずに眉間に皺を寄せた土方に、山崎が恐る恐る説明を加える。
「ふ、副長、実は昨日のアレ、ドッキリだったんです」
「は?」
「ですから昨日、遼ちゃんとは何もなかったんですよ。沖田隊長の計画に嵌められたんです」