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魂の色【銀魂短編夢】

第3章 アイの無い形(真選組逆ハーギャグ)


廊下に飛び出した遼は、倒れている原田を見て息をのむ。

「隊長、誰にやられたんですか!?」

見渡しても、土方や沖田の姿はない。

「うっ……山崎が、」
「山崎さんが!?
まさか、生きてたんですか?」
「殺してやるなよ。俺は不意をつかれただけだ」

いてて、と後頭部を擦りながら立ち上がった原田は、遼に絶望的な事実を告げた。

「山崎は、ビデオカメラ片手に天井裏に消えていった」
「……え?」
「お前多分、盗撮されてるぞ」

遼の瞳孔が開き、殺気が溢れる。
瞬きを一つして、いつもの表情に戻した遼は、天井を見上げると甘えるような声で山崎を呼んだ。

「山崎さーん、夢の国、行きませんかぁ?」
「神武?」
「出てきてくれたら、夢の国、連れて行ってあげますよぉ」
「ほ、本当に?」

あっさり姿を現した山崎に、遼は笑顔で近付くと、ポキポキと指を鳴らす。

「二度と帰ってこなくていいですよ」
「え?」

山崎が理解するより速く、遼の拳が山崎の顔面を抉り、廊下の端まで吹っ飛ばす。
足もとに転がってきたカメラを踏み潰すと、気を失っている山崎に中指を立てて「一人で行ってろ」と吐き捨てた。

「まあ、山崎が悪いな」
「原田隊長、他の人達は……?」
「来てないな。ちょっと様子を見に行くか」

濡れた髪を拭きながら、原田と屯所入口へ向かう。
その間も、周囲への警戒は怠らない。

「そんなにビクビクしなくても大丈夫だって」
「だったら、原田隊長が代わって下さいよ」
「絶対嫌だな」
「ひどい!他人事だと思って!」

絶望する遼に、原田は「他人事だからな」と笑う。
入口につくと、後片付けをしている隊士達が居るだけで、三人の姿が見当たらなかった。
遼の姿に気付いた近藤が、慌てた様子で近付いてくる。

「ああ、遼ちゃん。大丈夫だったか?」
「え、はい」
「実はな、アイツら暫くやり合ってたんだが、気付いたら居なくなっててな。その様子だと、会ってはないみたいだな」
「あ、愛染香の効果が切れたとか?」
「いや、あの香は意外と長く効果が続く」

絶望的な一言に、遼は項垂れて黙って地面を見つめた。
誰が悪いわけではないのだが、桂だけは許さないと心に決める。
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