第22章 本気で悪戯すると後が大変【沖田、土方夢?】
「おい遼、万事屋の旦那はどうしてた?」
「え、ああ、確か……銀ちゃんは体面を気にしてたから、服部さんが「ケジメをとれ」って言って、最終的に六人全員と長屋で同居することになったって聞きましたけど」
「つまり、旦那本人の意思で責任を取ろうって考えに至ったわけじゃねぇってことだ」
沖田の言わんとすることを察した山崎は「成程」と頷くが、遼はますます迷宮に入り込む。
「あの、全く意味が分からないんですが」
「……遼はわからないままでいい。それよりも、土方のヤローだ。少なくとも、今日一日は泳がすぞ。遼、土方さんに計画がバレねぇように気をつけろよ」
頷きかけて、遼は今日の勤務表を思い出した。朝議の後は書類整理を行い、午後からは市中見回りに行く予定だったはずだ。
「――そ、総悟くん、私、今日の見回り当番副長と一緒なんですけど」
すっかり青ざめている遼に、沖田はニヤリと笑う。
「その様子も、映像に残しておくか」
「わ、私、絶対動揺して、うっかりバラして謝罪してしまいそうです」
「絶対黙ってろよ。最高のタイミングでバラして、一生ネタにしてやるぜぃ」
人の悪い笑みを浮かべる沖田に、遼と山崎は心の中で土方に合掌した。
「いいか、遼。俺が指示するまでいつも通りにしてろ。困ったら、俺に電話してこい」
「わかりました。もうこうなったら、とことん最後まで付き合いますよ!その代わり、ネタバラしの時は私に被害が集中しないように守ってくださいよ!!」
「いいぜ。ちゃあんと俺が、守ってやるよ」
満足そうな沖田の笑みに、遼はうすら寒いものを感じ、顔を引きつらせる。
そして、遼にとって地獄の一日がスタートした。