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魂の色【銀魂短編夢】

第21章 一番甘いお菓子の名前【銀時夢】


数時間後、作業に一区切りついた遼は「ふう」と大きく息を吐いた。

「よし、後は冷めるのを待つだけかな。お待たせ銀ちゃ……あれ、寝てる?」

壁に凭れ、穏やかな表情で眠っている銀時に、遼は呆れつつもその頭を優しくなでる。

「よっぽど疲れてたんだね。でも、こんなところで寝たら風邪ひいちゃうよ」
「ん……」
「仕方ないなぁ」

寝室から薄手の掛布団を取ってきた遼は、起こさぬようそっと布団を掛けた。

「銀ちゃんは寝ちゃったし、先にお登勢さんのところに差し入れに行ってこようかな」

いくつかの菓子をまとめてラッピングすると、遼は割烹着を脱いでスナックお登勢へ向かう。

「こんにちはー」
「おや、遼じゃないか。今日はどうしたんだい?」
「実は、お菓子を作ったので差し入れに。万事屋の台所で作ったので、なんちゃってが多いんですけど」

そう言って、遼はラッピングした袋をテーブルの上に置いた。

「また随分凝ったことをしてるじゃないか。今日は何かあったかねぇ」
「薄力粉と卵が大安売りだったので。あとは、まあ、たまには女の子っぽいこともしてみようかなと思いまして」
「健気だねぇ。ったく、どうしてあんたみたいないい子があんなダメ男に引っかかっちまったんだか」

やれやれと肩を竦めるお登勢に、遼も「こればっかりは」と肩を竦めて苦笑する。

「ま、あの馬鹿に嫌気がさしたらいつでもアタシに相談しな。いつでもいい男を紹介してやるからね」
「ふふっ、ありがとうございます。じゃあ、ちょっと寄る所があるので行ってきますね」
「ああ。気を付けるんだよ」

お登勢に見送られ、遼はかぶき町を歩いて回る。屁怒絽や源外、鉄子、辰巳など知った顔の所に立ち寄って作った菓子を渡したが、袋の中にはまだ幾つか残っていた。

「うーん、無計画に作りすぎたかな」

いつものように神楽用を増やしてしまおうかと考えていると、通りの向こうからやってきた近藤に声を掛けられる。

「遼さん、久しぶりだね」
「こんにちは。そうだ、近藤さんは甘いものは召し上がられますか?」
「え、うん。万事屋ほどじゃないけど好きだよ」
「良かった。じゃあこれ……」

袋から一つ取り出そうとして、遼は少し考えると袋ごと差し出した。
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