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魂の色【銀魂短編夢】

第19章 星の降る夜【高杉夢】


その姿を、高杉は満足げに見つめた。横顔はすっかり大人びていて、贔屓目に見てもきれいになったと感じる。
叶うのならば、このまま傍に置いて眺めておきたいと思うほどに。
ゆっくりと遼の目が開き、驚いた表情で高杉を見る。

「うわっ、何?何かついてる??」

あまりにもまじまじと見られていたため、遼は若干身を引きながら自分の頬に手をやった。

「取ってやるからおとなしくしてろ」
「あ、うん。ありが——」

高杉の手が頬に触れたと思った次の瞬間、遼の唇は高杉によって奪われる。
押し付けるような口吻に、遼は抵抗するのも忘れて立ち尽くした。何が起こっているのか、遼が理解した頃には唇は離れていて、高杉がいつものように煙管を取り出して咥えていた。

「あの、晋ちゃん、い、今の」
「望むなら、何度だってしてやるぜ」
「っ……え、遠慮します」

真っ赤な顔で俯いてしまった遼の耳に、高杉の「そりゃあ残念だ」と、冗談なのか本気なのかわからない言葉が聞こえる。
そのせいで、ますます顔を上げづらくなった遼は、小さく恨みごとを漏らした。

「晋ちゃんのばか。歩くセクハラ。そんなんだからいつまで経っても銀ちゃんに負けたまま——いっ、痛いっ、何で抓るの!」
「さぁな」
「もうっ。帰ったらヅラに言いつけてやる。それでまたヅラに面倒くさい絡まれ方すればいいんだ」
「テメェ、地味な嫌がらせ方覚えやがって」
「いつまでも晋ちゃんにやられっぱなしってわけにはいかないんだから——あ、ヤバい、誰か来る」

近づいてくる足音に気付いた遼は、高杉の手を取り元いた部屋に慌てて戻る。

「あーあ。もうちょっと見てたかったなぁ」
「だったらこのままここに残るか?」
「いじわる」

眉をひそめた遼に、高杉はふっと笑うと「冗談だ」と紫煙を燻らせた。

「ほんと、いじわる」
「そんな男に、よく惚れたな」
「だって、優しいって知ってるから。だから私は……」

言葉の先を飲み込んで、遼はにこりと笑う。

「地球に着くまでまだ時間があるんでしょ?」
「小一時間だ。後はここで、黙っておとなしくしてろ」
「おとなしくしてるから、晋ちゃんの話を聞かせて」
「……俺に一体、何を話せっていうんだ?」
「初恋の人!」
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