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魂の色【銀魂短編夢】

第19章 星の降る夜【高杉夢】


「宇宙だと、流れ星って見えないんだよね」
「見れるとしたら、艦隊のビーム砲か何かだな」
「物騒だなぁ。でも、こんなにたくさんの星が降ったら、きっとどんな願い事でも叶っちゃうね」

そう言って笑って振り向いた遼を、高杉は堪らず抱き寄せた。

「し、晋ちゃん?!」
「お前は今なら、何を願う?」
「えっ……?」

思いがけない問いに、遼は動揺しつつも答えを探す。
「願い事」は、何なのか。
目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をすると、見つけた言葉を紡いで答える。
高杉に幸せにしてもらおうと考えていた幼い自分はもう居ない。

「今の願い事は——晋ちゃんが、長生きできますように、かな」
「お前は、俺の事ばかりだな」
「それは、まぁ、初恋だったからね」

特別にはなれないとわかっていても、その想いだけは本物だ。
もし、願いが叶うのなら、どんな時だって思い出すのは高杉の事だろう。
その自信だけはあった。

「だった、か」
「ん?」
「いや。今生では叶いそうにねぇな」

高杉の答えに、遼は目頭が熱くなり、それを隠すために高杉の肩口に額を押し付ける。

「晋ちゃんなら、何をお願いするの?」
「さぁな。すべてがぶっ壊れるように、か。あるいは……」
「あるいは?」

首を傾げて見上げてきた遼に、高杉は皮肉っぽく口元を歪めた。

「お前が、もう少し賢くなるように、だな」
「何それ?」

些かむっとした遼に、高杉は喉を鳴らす。

「くっ、敵の戦艦に一人で潜入する奴は賢いとは言えねぇだろ」
「そ、それはそうかもしれないけど。もうっ、本当に意地悪なんだから」

遼は高杉から離れると、改めて眼下に広がる星空を見下ろした。

「もう一回、ちゃんとお願いしておこう。こんなにたくさんの星があるなら、一つくらい願い事を叶えてくれるのだって有るかもしれないし」
「相変わらずだな」
「いいでしょ、別に」

目を閉じた遼は、祈る真似をする。
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