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魂の色【銀魂短編夢】

第19章 星の降る夜【高杉夢】


「ガキの頃の話なら、もう笑い話になるだろ。それとも、話せないような内容なのか?」
「話せないっていうか、言ったら絶対馬鹿にされるもん。っ、痛いっ!!」

すねたように唇を尖らせた遼の頬を軽く抓った高杉は、「寝覚めが悪くなるから話せ」と詰め寄る。

「本当に、馬鹿にしないでね。私のお願い事はね、……晋ちゃんの、お嫁さんになれますように、だったんだよ」

恥ずかしいのか、目線を逸らせて答えた遼に、愛しさが募る。こんな時でなければ、思いを形に出来ていたのにと、後悔ばかりが胸に積み重なっていた。
高杉がよほど苦々しい顔をしていたのか、遼は不安げにのぞき込む。

「笑っても、いいよ」
「笑ったり、馬鹿にしたりなんか出来ねぇだろ。お前は本気だったんだろうからな」
「っ……あの、そうなんだけど、本人に言われると恥ずかしさが倍増で」

耳まで真っ赤にして狼狽える遼は、高杉に背を向けて窓の外をじっと眺めた。
幼い頃、遼に流れ星に願い事を三回唱えれば叶うと教えてくれたのは、高杉だった。意外とロマンチストなのだと、今思うと微笑ましい。
けれど、あの頃の遼にとって、憧れの存在である高杉の言葉は、どんな教訓よりも遼の心を揺さぶった。
流星群が見られると知ったあの日、高杉たちを誘って星見に出かけ、必死で願い事を繰り返し、きっと願いが叶うのだと胸躍らせていた。

「今でも願い事は変わらねぇのか?」
「……さすがに、もう現実はわかってるよ」

背中越しにかけられた問いに、遼は切なくなる。幼い頃の願いが叶わないことなんて、とっくに知っている。
あの時、全てを喪ってしまった高杉に、平穏な幸せは似合わない。

「それよりも、やっぱりすごいね。宇宙の風景って変わらないって聞いてたけど、いろんな色の星があって幻想的かも」
「ガキの頃のまんまだな。星空一つではしゃいで」

穏やかすぎる時間に、高杉は胸が苦しくなる。
遼と居るだけで不安のかけらが無くなっていくようで、高杉は僅かに躊躇う。
このまま、傍に――
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