第18章 情炎(土方裏)
「嫌だ」と言いかけて、土方はその言葉を飲み込んで頷く。
「わかった。無理するなよ、飯なんかどうでもいいんだから」
「心配かけてすみません。あ、そうだ、お風呂にお湯を溜めて貰っていいですか?」
「ああ」
諦めた土方が台所を出て行くと、遼は大きく息を吐いた。
僅かに手が震えていて、涙が零れる。
「最低だ……被害者みたいな顔して」
ゴシゴシと目を擦って顔を上げた。
「ちゃんと謝らなきゃ。嫌われたって、仕方ないんだから」
今日一日、ずっとそればかりを考えてしまい、家事が全く手につかず、こんな時間までダラダラと悩んでいた。
そして、いざ土方が帰って来るとうまく言葉に出来ず、あんな態度を取って困らせた。
「寝るまでには、伝えよう」
覚悟を決めて料理を再開する。
どんな結末でも、受け入れなければと、何度も自分に言い聞かせながら。